人倫と民心

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(2017.05.23)

小説と史実(正史+野史)との絶妙な複合・融合の脚本で盛り上がりましたね。
お隣の国の歴史や文化は“知れば知るほど面白い”です。
ドラマ『逆賊』および<王朝絵巻 シーズン8>のアップは今日で終わりにします。
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最初に“まとめ”の言葉を引用します。

私の座右の『朝鮮王朝実録』での燕山君と光海君の評価
朴永圭(パク・ヨンギュ)『朝鮮王朝実録』キネマ旬報社(2012.03:p.183)より。

最近になって、彼の行為を王権強化のための燕山君なりの自救策として解釈する人や、彼の人間的な苦痛と浪漫的な性格浮き彫りにして同情論を展開する人もいる。
(略)
しかし、彼の狂的な暴政まで人間的な同情論でかばうのは危険な見方だろう。
(略)
また、燕山君への同情論を展開する人は、しばしば朝鮮王朝史のもう一人の暴君として記録された光海君と比較しようとするが、それにも問題がある。
というのも、光海君は政治力学の犠牲者だったのに対して、燕山君は人倫と民心を裏切った独裁者だったからだ。

# 法律・制度、決り、マナーなど、合せて「矩(のり:尺度)」というようです。
しかし、人の倫理観(人倫)とは明文化は難しいと思います。
「心の欲する所に従えども、矩を踰えず(のりをこえず)」ということわざのとおりで、相手のことを無視して、あまりにもマイペースを通そうとすると、相手を傷つけてしまう…。
矩(尺度)をどこに設定するか、さまざまなシチュエーションがあるので、考え続けるしかないようです。

次いで、2点加筆しておきます

1.小説「ホンギルドン」

『逆賊』第1話と第25話でのこと。

ヨンサングンとギルドン

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「質問がある。 正直に答えろ」

「…」

「お前は滅亡した高麗の王族の最期の末裔だと聞くが、
 本当か?
 でなければ、
 王家の妾の息子でそれを怒っているとも聞くが…?」

「…」

「でなければ、
 お前は自分のことを何だと思っているのか?」

「俺は高麗の王族の末裔でも、妾の息子でもない。
 それに落ちぶれた貴族の末裔でもない。
 俺はアボジの息子、奴婢のアモゲの息子だ」

「ははは、まさか…?
 そんな下層の子供だと?
 ありえない…」

「では、貴様はなぜだ?
 高貴な王の元に生まれたのに、
 なぜそんな下劣な男になったのか?」
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身分や生い立ちにより、生まれながらにして不平等の差別の時代。
半島では最高の御医だったホ・ジュンも、両班(武官)の子でありながらも庶子であったことから蔑まれました。
また、
小説『洪吉童伝』の作家のホ・ギュン(1559~1618)は第15代王・光海君に仕える高官でしたので、当然ホ・ジュンのことを知っていたはず。
ホ・ギュンは(最初とも言われています)ハングル版の小説を書いて、庶民向けに、身分や生い立ちにとらわれない能力主義の理想を実在したホン・ギルドンに託したのだと思います。

映画『光海~王になった男』では最後の字幕で次のように紹介されます。
…翌年8月、都承旨のホ・ギュンは王朝転覆(#)の罪で斬首に、
5年後に光海は廃位された。
光海は土地を持つものだけに課税(大同法)し、
民を救うために、明と対峙した唯一の王である。
(映画より)
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http://jumong007.blog133.fc2.com/blog-entry-3063.html
# 王朝転覆とありますが、
これは小説「ホンギルドン」が身分差別のない民主主義の思想で書かれた小説だからだと言われます。
ホ・ギュンは革命的な思想家でした。
この映画の15日間はまさにホ・ギュンとハソン(影武者)が夢見た理想の国家のため。
また、
光海君が“大同法”を制定し、冊封制度による“明国”への”事大主義(依存関係)”に反発したことは史実です。

2.中宗反正または「朴元宗の乱」

甲子士禍(カプチャサファ:1504年)で絶対王権を得た燕山君は暴政を極めます。
自分の過ちを諌める者を斬首または流刑に処したために、臣下たちにとっては政治論争がまったくできない堂上(議会)になりました。
政治論争の主軸で、時に応じて王に進言できた司諌院(サガウォン)が廃止され、また官僚・儒学生を育てる最高学府の成均館(ソンギュングァン)も廃止。
さらには、ドラマにもあるように全国に採青採紅使(チェチョンチェホンサ)を派遣し、各地の美女を上京させました。
カリョンやオリニ、オンランが最初に入った“運平(ウンピョン)”がそれです。
そして、芸を磨き選抜した妓生たちを“興青(フンチョン)”と呼び、宮殿に呼び入れ宴席を賑わせる役目を担わせました。
それだけでなくドラマにもあったように、自分の趣味の狩り場に適した場所は、都城(漢城府)を起点に30里内にある民家を強制撤去しました。

クーデター計画をもっとも早く準備したのは、成希顔(ソン・ヒアン)という元・従二品の高官でした。
しかし、彼はその前の諫言により、従九品に左遷されていました。
彼が声を掛けたのが朴元宗(パク・ウォンジョン)です。
パク・ウォンジョンは武官の出身で軍にネットワークを持っていたからです。

パク・ウォンジョンも同じく王に諌言する立場の堂上官(財政を担当)でしたが、国庫の浪費を諫めたために左遷されました。
その後、再度正二品の堂上官に戻るものの、燕山君と仲が悪くなり、官職を剥奪されるに至ります。
パク・ウォンジョンと燕山君との仲が悪くなったのは、彼の姉のこと。
彼の姉は燕山君の父親・成宗の三歳年上の月山(ウォルサン)大君の妻。
美女を集めていた燕山君は自分の伯母まで宮中に呼び出したことによります。
(宮中では何があったのかは正史には記録されていません)

ドラマでも描かれたように、思いのほかクーデターはスムースに進みました。
そして、燕山君の義弟の晋城大君(チンソンテグン:後の中宗)が景福宮(キョンボックン)の正殿(勤政殿:クンジョンジョン)で即位することになりました。

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“ログ(航海日誌)”のとおりで日々、どのシーンも良かったので、これまで感想をバラ、バラと書いてきました。
他方では、どんどん忘れていくので、まとまった感想は書けそうもありませんでした。
ただ、『逆賊』をブログでテイクアップするにあたり、『(申:シン)師任堂(サイムダン)』が特に気になりました。
どちらも第1話を見てから『逆賊』に決めたのですが、そのわけはギルドンの両親を演じた俳優が懐かしかったからです。

なお、次はSBS『怪しいパートナー』にしました。
ミステリーが絡んでいるようです。

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(『逆賊』制作発表の際のビデオです)
https://www.youtube.com/watch?v=tBKHBCdxZdU

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