映画「思悼(サド)」 その(3)

white ajisai
(2016.06.10)

「思悼(サド)」 その(3) 傷だらけの世子

「何だ?この着方は? 
 仕事には切れがあるというのに、服装となると…。
 しっかりと紐を結べ」

「…」

「そうやって、てきぱきと処理して気持ち良いか?」

「…」

「なぜ朝廷をお前の方と父親の方とで分離させるのか?」

「息子の道理で、父上のために軍権と人事件だけは…」

「それを知らずに私が野放しにしていたと思っているのか?!」

「?!」

「私が一生かけて、
 朝廷の和合のために尽くしてきた公平な政治を、
 お前は1日で崩してしまったのだ。
 王とは何かを決定するのではない
 臣下が決めたことを容認して、その責任を負うものだ」
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「ハムギョンドの査察使からの報告では、
 ソンジンに防御営をキルジュに戻したいと申しています」

「…」

「キルジュは9つの道を全て防衛することができますが、
 ソンジンでは3つの道しか防衛できないからです」

「キルジュに戻したらソンジンではどうやって防衛するのか?」

「一部の兵力を残すことで問題ありません」

「ではその方が良いな。
 兵曹で協議してそのようにしなさい」
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「ではそのように従います」

「ちょっと待て、ちょっと!
 余がソンジンに移したのはそれなりの事由があっての事だろう?
 余の前で覆すと、余の顔が立たないだろう?」

「?!」

「そなた達は、世子を盾にして、余を無視するのか?
 え?!」

「…」

「お前が国防について知っていることは何か?」

「…」

「ハムギョンドに行ったことがあるのか?」

「…」

「防御営はそのままにして、
 重要なことは余に相談した後にそなたたちが決めよ」

「…」

「次は何だ?!」

「チョハ、先日は守御庁から銀を借りました。
 守御庁では税金として米300俵を収めねばなりませんが、
 我々が返す銀と引き換えだと言って、米を納税しません」

「チョハ、守御庁(ホジョ)判書の言うことは一方的な主張です。
 守御庁で変乱に備えて溜めた銀はやはり返却するべきもので、
 米の納税を求めることは過酷です。
 どうして、清からの使者をもてなすための銀を、
 国に治める税金の肩代わりになるのでしょうか?
 チョハ、どうかご処決ください」

「どういたしましょうか?」

「こんなことも一人で決断できないのか?
 代理にした甲斐がないな」

「…」

「それぞれが、銀を返し、米を納めればよいではないか」

「そうしなさい」
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「次!」

「全羅道からの報告です。
 ホナム地方では4か月も雨が降らず、飢饉でございます。
 チョハ、どうしましょうか?」

「…」

「雨が降らないのは余の徳がないからだ。
 どうして世子に尋ねるのか?」

「いや、私が代理聴政しても雨が降らないのは私に徳がないからだ」
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「チョハ、これからチョナをお訪ねしましょう。
 参観すべきです」

「丈人(チャンイン:妻の父)…。
 代理聴政というものは元よりこういうものですか?」

「今はしばし耐えるしかありません」
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# ここで荘献を支えているのは妻・恵慶宮の父・洪鳳漢(ホン・ボンハン)。
しかし、最後まで守りきることはできませんでした。
『華政』の貞明(チョンミョン)公主と夫の洪株元(ホン・ジュウォン)の3~4代ほど後の、名門・洪家の家長です。

「嫌だ」

「チョハ…」

和合だと言いながら、
 臣下たちの顔色を伺うのが公平な政治なのですか?」
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李麟佐(イ・インジャ)の乱(#)

「キョンジョン大王(景宗)を殺したあなたが、
 なぜ王なのでしょうか?!」

「まだ毒殺などと言うのか?
 余が即位した際には、
 既に根も葉もないことだと判明していたではないのか?」

「ではなぜ、イ・インジャが反乱を起こしたのですか?!
 あなたを王としては認めたくなかったからでしょう!」

「そいつの口を裂け」

「俺一人殺したくらいでは世の中は変わらないと思っているのだろか?!
 あなたのような雑用係の息子が、
 なぜ偉大なスクチョン大王の息子なのですか?!」

「は~、そいつも裂け」

「!」
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ワン公と遊ぶ世子

「清から来たお前は犬の中では王かもしれないが、
 ここは朝鮮だ。
 そうやって吠えていると野良犬の仲間に婿入りさせるぞ…」
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「変わったことは無いのか?」

「ええ」

「なぜ私のところには来なかったのか?
 勉強していたのか?」

「…」

「父はこうやって夜まで仕事しているというのに…。
 もういい」
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王陵に向かう雨の日

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「お前は全羅道に行くイ・ウィギョンに、
 “読書は楽しい”という詩を送ったそうだな?」

「はい」

「なぜお前が読書が楽しいなどと書くのか?
 お前はその詩でイ・ウィギョンを騙しただけでなく、
 ホナムの人々まで騙したことになる」

「…」

「お前がそんな嘘をつくから、
 ホナムに降るべき雨がこの王陵に降ったではないか?!」
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「それに余の前で正直な振りをするな。
 お前は偉大なスクチョン大王の墓を参る資格はない」

「…」

「もう帰れ。
 チッ! 息子がもう一人いたなら…」

「…」
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<4日目の炎天下>(#)

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「あ~、あ~。
 水を持ってこい!
 水だ!」
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「やあ、芝生が乾いたから水を撒け」

「は~」

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(小水まで飲む荘献世子)
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竜の絵(息子の誕生の頃)

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「媽媽、ゆっくり息を吐いて下さい」

「息子です! 
 昨夜は夢に青竜が出てきたのです! 
 青龍!」

「…」

「世孫ですよ! 世孫!」

「コマプソ、世子…。
 これで私もご先祖様に顔が立つ」

「チョハ、この絵は扇子にしましょう。
 後々世孫が即位するに際してお納めいたします」
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息子・サンの誕生

「心からお祝い申し上げます、媽媽」

「これからハラボジにご挨拶に行くぞ…」

「100日を迎え世孫がご挨拶です」

「…。
 ああ、これでもういい。
 連れていけ」

「…」

「王妃様の還暦が明後日なのにチョナが何も仰せにならないので、
 準備を始めることができません」
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若い側室を叱る大王大妃

「ヨンビン媽媽。
 チョナが何も言われない時にはそれなりの理由があるのでは?」

「どうしましょうか?」

「それでなくとも激務なのに、
 側室たちまでもがそんなことでチョナを悩ませるとは…」

「…」

「ムンソウォン。 そなたが…」

「うるさいから、下がっていなさい!
 あ~、下がれ!」
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「チョナの寵愛を受けているからといって、
 世子の生母に盾突くなんて…、なんと…」

「!」

むち打ち

「この不届き者め!
 あくどい性癖を根こそぎにしてやる!」
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英祖が入って来ます

「皆下がれ!」

「チュサンがいかに中殿に情がないとはいえ、
 明後日には中殿の還暦というのに何も仰せではない…」

「…」

「これはチュサンの意思なのか?
 それとも、ムンソウォンの意思なのか?!」

「ム…」

「王妃の還暦を祝いたいヨンビンの心の方がどれほど美しいものか…」

「…」

「同じ側室の立場で、ヨンビンの心使いを学ぶどころか、
 身勝手にヨンビンに盾突いたので、
 この私が内命婦の法度を立てました」
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「大妃がこのような事をなさるなら、
 もはや私は王でいられません」

「何ですと? 
 あの卑しい者のお腹にチョナの血筋がいるということで、
 肩を持つのですか?」

「卑しい? 卑しいのですか?!」

「…」

「この卑しい私を王にしたのは大妃です!
 そうであれば王座から降ろして下さい!」

「!」

「世子に王位を譲りますから、許可して下さい!」

「…」

「…」

「そうか…」

「…」

「そうしましょう。 許可しましょう」
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「いけませんチョナ!
 どうか譲位のお考えを取り下げて下さい」
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「余がこの座には欲心がなかったと何度言えば解るのか?!」

「…」

「すでに王室の最高齢であられる大妃の許可を受けた!」
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「大妃媽媽、このままでは世子がどうかなってしまいます。
 許可をお取り下げください」

「いつもいつも、
 しょっちゅう王なんてやってはいられないと言って、
 世子を悩ませるチョナの悪癖です」

「私が根を断つ」

「しかし、これまで世子を守ってこられたのは大妃媽媽でございます。
 今、世子を助けることができるのは大妃媽媽だけです」

「私はいかにも女ではあるが、一国の大王大妃である。
 一度許可したことをどうやって取り下げられるものでしょうか」

「しかし、このままでは世子が死んでしまいます」

「どうかお救い下さい、大妃媽媽」

「では私が死ねば良いのだ。
 これからは食事を持って来るではない」

「大妃媽媽…」

「年を取って、耳が遠くなった。
 チュサンの言葉を誤って受け取って許可したと言いなさい」
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「世子、チョナは既に外の別宮に外出なさっている。
 中に入りましょう」

「お帰り下さい。 オモニム…」

「チョハ…。
 大妃媽媽が許可を取り下げになりました。
 どうか立って下さい」

「…」
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大王大妃の死去

「黙っておればお前が王になれたのに…。
 許可を取り下げさせるだけでなく、死に追いやるとは…」

「私の不覚でした」

「卑劣な奴め。
 お前の負けん気を知らないとでも思っているのか?」

「あ~、ええ!
 全部私のせいです!」
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米櫃の中の温度はいかほどだったのでしょうか?

1762年の閏5月22日が“米櫃事件”の初日でした。
太陰暦なので、閏5月は2回目の5月で、太陽暦にすると6月22日(またはそれ以降)です。
この今日のブログとほぼ同じ気候の頃のことでした。

# 李麟佐(イ・インジャ)の乱

突然で分かりにくかったのがこのシーンでした。
これは、首謀者の名をとって「李麟佐(イ・インジャ)の乱」の模様です。
名分は「英祖による景宗毒殺」と「英祖は粛宗の血を引いていない」というものでした。
当時の人々を疑心暗鬼にしていた問題で、“謎めいた”王朝の秘話です。
(康煕奉「謎めいた朝鮮王朝」双葉社、2015.04. p.110)

# 次回は27日、歴史の背景と登場人物について振り返ります。
本編は28日(その4)に再開(予定)します。

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