映画「思悼(サド)」 その(2)

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(end of May)

「思悼(サド)」 その(2) 10代の頃

「本当に美しい娘を迎えた。
 今日は世子からの礼服ももらったことだし、
 一言言っておく」

「…」

「世子にはこの上なく仕え、
 言葉や顔色が軽々しくてはならない。
 何を見たとしても、宮中では知らない振りをしなさい」

「世子の前であっても、むやみに服をはだけてはならない。

「…」

「紅が美しいとはいえ、
 夫の服に付いた紅は美しくはないから、付けないように」

「…」

翁主(側室の娘)がわざと変な顔を見せて、ふざけるものだから、笑い出す世子

「「お前はなぜ笑っているのか?」

「ははは」(#脚注あり)
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「翁主(オンジュ)が、
 将来の世子の王妃(ワンビ)になる者とは、
 肩を並べて座ってはならない」

「曲座の礼法通りにしなさい」

「…」
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「チョナに仕える際にひとつ注意をする」

「…」

「私は王妃とは名ばかりだ。
 チュサンを長きに支えたヨンビンが話しなさい」
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(中殿: 王妃)

「チュサンは言葉をお選びになる。
 “死”とか“帰”の字はお嫌いだ。
 また、ジョモ会の後や、
 外出後の服は着換えた後に部屋の中にお入りになる」

「…」

「不吉なことを聞くと、寝殿に入る前に歯を磨き、
 耳を洗ってお入りになる。
 嫌いな者を呼びつけて、“変わったことはないか?”と聞き、
 不浄な物は焼いて中にお入りになる。
 良いことと悪いことをなさる時には、入る門も違う。
 いいことには満安門から、悪いことには慶華門からお入りになる」

「…」


「また、愛する人がいるところには、
 愛してはいない人が一緒にはいないようになさる」
(ヨンビン)

「…」

「チュサンはこのように、
 愛と憎しみを表すことには計り知れないほどに明らかだ。
 世子姫(ピングン)は嫌われないように特段の注意が必要だ。
 あ~、どれほどお堅いつもりの方なのか…」
(大妃)

「…」
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(大妃、側室・ヨンビンとピングン)

ピングンの両親・親類たち(洪家)

「ピングン媽媽、
 宮廷の大人たちの話をよく聞いて、気を付けて下さい」
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「アボニム、オモニム…」

「ピングン媽媽、めでたい日に泣かないで下さい」

「そっとしてあげなさい。
 他の者たちは王家の姻戚となることを羨むが、
 私たちは家門の災いとなると考えて、警
 戒しないといけない」

「…」
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愛犬

「チョハ、清国の皇帝からの贈り物です」

「お~、お前の名前は?」
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「アバママがどれほど凄いか知っているか?
 勉強では家臣も勝てないんだ」

「…」

「でもアバママを怖がらないでくださいね。
 私がいるじゃないか。 私が…」

「…」

「アバママの目にも、ピングンは合格です。
 合格」

「ええ」

「こら、ワンころ。 静かにしなさい。
 しっかりとつかまえていなさい、ピングン」

「…」

「本当に美しいピングンを迎えた。
 世子に仕える時は、いつも笑顔を忘れず…」

「…」

王(英祖)が現れます

「!」

「チョハ、侍講院のお時間です」

「!」
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「道也者 不可須臾離也 可離非道也…。
 道とは一時も離れることができないもので、
 もし離れることができるならばそれは道ではない」
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「莫見乎隠 莫顕乎微 故 君子 慎其獨也…。
 隠れているもののように表われることなく、
 微細なもののように表われることなく 
 よって君子は一人でいてはならない」

「合格」

「合格だと? 
 君子 戒慎乎其所不睹 恐曜乎其所不聞…。
 この一字でもなく、一行を忘れたというのに合格なのか?
 世子とはいずれ王となり国の根幹となるものだ。
 お前が国を滅ぼす者になるとしか思えない」

「…」

「この本はお前のために徹夜で作った。
 これも覚えられないのに、
 これから何の勉強をするつもりなのだ」

「…」

「一年に何度くらい勉強する気持ちが湧いてくるのか?」

「1~2回です」

「何だと?!」

「え?!」
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「チョハ、1~2回とは謙遜が過ぎます」

「師匠。私の心は私が知っています」

「アイゴ、そうか。 正直でよい。 正直だ。
 私がお前の頃は、
 一時でも勉強できなくなるのではないかと恐れたものだ。
 お前はこんな良い環境でも勉強を怠って…」

「チョハは難しい経典には興味を示されませんが、
 西遊記や守護伝など…」

「何だと?!
 一国の世子にそんなものを読ませるのか?」

「チョナ、あまり慌てずに。
 素質が素晴らしいので、自発的に勉強するほどになるまでは…」

「この子の真っ黒な顔を見てもそんなことが言えるのか?」

「…」

「毎日炎天下で遊びほうけて…、
 遊びは一時の味で、学問は一生の味だと何度言ったことか…。
 まったく…」

「…」
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<米櫃に入れられて3日目>

夜になって、米櫃の中にムカデが入って来ます

「!」
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「開けろ!」


世子は米櫃を蹴破って、池の中に飛び込んで暴れます

池に飛び込むサドに、
「チョハ!
 こんなことをなさってはなりません!」

「いっそのこと、毒薬を飲ませてくれ!」

「チョハ!
 こんなことをしていたら世孫までも巻き添えになります」

「息子を殺して、孫を殺して、皆殺しにさせよ!」

「チョハ!」

「みんな殺して、千年万年ひとりでやりやがれ!」
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「捕えろ」

「放せ!何で全部が私一人の責任なのか?!
 あなたがこれまで私にしてきたことを考えろ!」

「お前にはそんなことを言う資格はない」

「そんなに自分が悪くないというなら、
 皆殺しにしろ!」

「閉じ込めろ」

「これが人間がすることなのか?!」

「結んで、芝生で覆え」

「!」

見ていた王は、今度は米櫃を縄で縛りあげるよう指示

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<成人してからの世子と英祖>

「私家では親が子を慈愛で育てるが、
 しかし、王家では子を恩讐のように考えるという。
 なぜだか分かるか?」

「子を思う親心とは皆同じではないでしょうか?」
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「違う…。ここに来るたびに思う。
 先祖たちの血の気が混じった鳴き声が聞こえてくる。
 こちらは46年間王であられた父上だ。
 スクチョン(粛宗)王の位牌だ」

「…」

「この方は妻に毒を賜れた」

「…」
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「この方は余の兄の景宗(キョンジョン)王だ」

「…」

「人々は余が兄を殺して王になったと言う。
 そちはどう思うか?」

「党派のためならどんな嘘もでっち上げられます。
 どうかあまりお気になさらないように」

「ここには兄弟や甥までも殺して、王位を守った王が眠っている。
 恩讐のように子を育てるということ。
 分かったか?」

「…」

「お前が王になったら分かるだろう」
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王位の禅譲を考えていた英祖

「なりませぬ。
 なぜこのような重い命令をなさるのでしょうか?」
(老論派)

「私は25年間、この日を待った。
 もう、世子が成人したのだから、王位を譲る時が来たのだ」

「王位を譲り国事を任せて、勉強の時間を妨げるのですか?」
(小論派)

「余はもとよりこの座には欲心がなかった。
 みなも知っての通りで、
 兄のキョンジョン(景宗)の跡継ぎがいなかったからで、
 しばし引き受けたつもりだった」

「チョナの本意を私どもは知っております。
 私ども、以前にもましてお仕え申し上げます」

サドは
「チョナ、どうか命令を取り下げて下さい!」

「あ~、まったく。では代理聴政はどうか?」

「…」
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洪家(妻・恵慶宮の実家)の家臣は

「訓民正音、四郡六鎮、測雨器は世宗の業績として有名ですが、
 実は息子のムンジョン(文宗)が代理聴政で成し遂げたことです」

「したがって、
 代理聴政はせいぜい元手とも言われます」

「師匠方々、代理聴政はチョナのためであって、
 私のためではありません。
 心配なさらないで下さい」
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「しっかりやってくれ。
 息子が上手くやれば、父も上手くいく」

そう言われててきぱきと問題を解決する世子

「チュサンの仰せのとおり、
 一人2枚だった軍保布を1枚に減らしても、
 国防予算は80万両足りません」

「戸曹(ホジョ)で考えた代案を言って下さい」

「地方官庁に公務処理費用と予備費を転用して12万両、
 兵役忌避者を摘発して、
 軍保布を1枚賦課して5万両。
 合計17万両を確保可能です」

「では残る63万両は?」

「…」

「両班たちが所有する全国80万町歩から、
 1町歩あたり半両の土地税を課して40万両」

「チョハ。
 両班は兵役を負担しないのが国法です」

「あなたたちは口を開くたびに、
 朝鮮は平民の国だとはやし立てるくせに、
 なぜ平民だけに兵役を課すのか?
 貧しい平民にだけ課すのか?」

「…」

「王室も宗親も率先して模範となり、
 漁場税、塩田税、船舶税を10万両差し出す。
 それでも足りない13万両は、
 放漫な5軍営の組織を統廃合して、
 節減にあたるというのはどうか?」
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「チョハ、軍権にかかわることはむやみに手を付けてはなりません」
(老論派)

「なぜだ?」
(世子)

「チュサン・チョナが即位されるに当たり、
 我々と約束したことがあります」
(老論派)

「その約束を口実に、
 この者たちが25年間も軍権を独占した結果、
 弊害は1つや2つではありません」
(小論派)

「何だと?!」

「この問題はそこまでにしておけ」
(英祖)

「チョハ!
 一部の党派が軍権を独占することは廃止すべきです」
(小論派)
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「軍隊の中で党派によって、
 内部分裂することを容認できると思っているのか?」

「チョハ。それは5軍のなかで、
 武官たちが親交を深めるための集まりに過ぎません」

「この国の軍隊は、
 あなたたちの親睦を深めるための組織なのですか?
 王の軍隊になぜ党派が生じるのか?!」

「…」

「今日から守御庁、御営庁、総戒庁、禁衛営、訓練都監の、
 すべての党派を廃止し、
 チュサン・チョナと兵曹判書と5軍営の、
 すべての命令体系を統合して一本にする」
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「潔い処置でございます」

「はっはっは~。
 あの者たちがチョナの即位を手伝ったからといって、
 軍権を握っていたが、とんだ好敵手が現れたものだ」
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「お義姉さま、いいですね」

「容姿も気性もチョナよりも、
 世子の方が堂々としているからでしょう?」

「ほほほ…」
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しかし…。

「軍と兵役の問題は先代のスクチョン大王の頃からの懸案でした。
 しかし…」

「分かった」

「軍権はチョナと私たちの義理が関わって…」

「もうよせ」

「え?!」
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# 最初の結婚式のシーンで荘献が笑い出したのは、和平翁主がおどけた顔をして兄の荘献を笑わせたからです。

英祖には2番目までの二人の正室と4人の側室がいました。
映画の荘献世子は第2側室の英嬪(ヨンビン)・李氏の息子です。
さらにヨンビンには3人の娘(翁主:オンジュ)がいて、それぞれの名は和平、和協、和媛でした。
翁主が“オラボニ”と荘献を慕うシーンも出ます。

# 荘献の改革

映画『思悼』では英祖が「(派閥の)和合」という言葉を使います。
しかし、息子の荘献(チャンボン:思悼世子)は代理政治の際に、これに鋭く反論して、「税の負担では両班も政務を果たすこと」とし、「王の軍隊にも派閥があって良いのか?!」と言葉を荒げます。

歴史の本では、<朝鮮王朝>第21代王・英祖(ヨンジョ)と第22代王・正祖(チョンジョ:『イ・サン』)がそれぞれ派閥政治を改革しようとした功績が書かれています。
政治手法は同じく“蕩平政治(タンピョンチョンチ)”と呼ばれました。
しかし、内容は違います。
英祖は派閥の解消を図るのですが、正祖(イ・サン)は派閥にとらわれない能力主義と若手の登用を求めました。

正祖(サン)の父・思悼世子の“義”は、こうしたことであったと思います。
サンがその遺志を継いで、両班も派閥もない水原・華城に遷都したいと考えた原点も、この思悼世子の“義”にあったと思います。

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