ソンファの二つの言葉


# 「和を以て貴しとなす」
英祖が「和合」という言葉を使いましたが、思悼世子はそこに甘んじようとしませんでした。
臭い物には蓋をするとか、見て見ぬ振りをすることも同じで、“なあなあ”にするところに不正義の悪魔が侵入する…。
そんなことを思って以下を書いてみました。

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(『記憶』より)

『記憶』でのソンファとテソクの会話

「女性の誤解を解くにはどうしたらよいかな?」

「正直に謝ることです」

「簡単だな…」

「いいえ、本当に誠実になることは簡単ではありません

もう一つのソンファのセリフ

「私は法律は信じませんが、正しいことは信じます

1.良いことと正しいこと

ドラマ『記憶』で、テソクが、
良い男になる為のプログラムを実行中だ」と妻のヨンジュに言いました。
また、息子のジョンウが父親のテソクに、
「アッパ、“良いことは決して死なない”という、あの映画のセリフが好きなんだ」と語りました。

良いこととは何だろう?
そう思って先のドラマ『六龍が飛ぶ』から気にかかっていました。

これかな…?
と思ったのが『記憶』でのソンファのセリフ。
「法律は信じませんが、正しいことは信じます」と言って、これで法律事務所の面接試験では落ちたものの、(テソクから認められて)テソクの秘書に採用されました。

国によって多少の違いがあっても、今の男女平等の民主主義の社会にあっては、社会生活を営む上での“やってはならない悪の最低限”が法律で規定されている。
しかし、みんなで生きていくためのモラル・道徳という、時には曖昧な広い概念を思うと、法律では定められていない“良いことと正しいことの範囲はとても広い”と思います。

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2.正しいこと

禅問答ではなくて儒学問答の話。

ドラマ『六龍が飛ぶ』で、成均館の教授のホン・インバンが、生徒のイ・バンウォン(後の第3代王・太宗)に、
「良いこと(goodness)と正義(justice)の違いは何か?」と訪ねました。
バンウォンは、
「良いこととは悪をも包み込みますが、正義は悪を決して認めないことです」と答えました。

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# 成均館の生徒のイ・バンウォン(役ナム・ダルム:『記憶』ではジョンウ)
ホン・インバン(役:チョン・ノミン:同イ・チャンム代表)
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儒教でいう「義」とは、
“私利私欲(だけ)を求めない社会正義”とあります。
つまり、自分では良いと思っていても、他人にとっては困ったことになること。
自分の会社にとっては良くても、他社には不利益になる。
自国にとっては良いことでも、他国にとっては不利益になる。

正しいこととは、今の自由競争社会においても、大切にしたいモラル・道徳のバランスのことを意味しているような気がします。

3.『思悼(サド)』での英祖と思悼世子の対立

良いことと正義の違いを再度思ったのは映画『思悼』でのこと。

映画『思悼』では英祖が「(派閥の)和合」という言葉を使います。
しかし、息子の荘献(チャンボン:思悼世子)は代理政治の際に、これに鋭く反論して、「税の負担では両班も政務を果たすこと」とし、「王の軍隊にも派閥があって良いのか?!」と言葉を荒げます。

歴史の本では、<朝鮮王朝>第21代王・英祖(ヨンジョ)と第22代王・正祖(チョンジョ:『イ・サン』)がそれぞれ派閥政治を改革しようとした功績が書かれています。
政治手法は同じく“蕩平政治(タンピョンチョンチ)”と呼ばれました。
しかし、内容は違います。
英祖は派閥の解消を図るのですが、正祖(イ・サン)は派閥にとらわれない能力主義と若手の登用を求めました。

正祖(サン)の父・思悼世子の“義”は、こうしたことであったと思います。
サンがその遺志を継いで、両班も派閥もない水原・華城に遷都したいと考えた原点も、この思悼世子の“義”にあったと思います。

『六龍が飛ぶ』では孔子の思想についての英文字幕で、仁(Benevolence)、義(Justice)、礼(Politeness)、知(Wisdom)、信(Trust)とありました。
ウィキペディアなどで調べると、仁(慈しむ心)、義(私利私欲にとらわれない社会正義)、知(知るための努力)、信(信じること)、そして礼は、仁、義、知、信を実行することとあります。
孔子は仁を最大の徳としたのですが、イ・バンウォンたちは、孟子の思想を取り入れて、礼については、仁と義と知と信を実行する力、つまり“礼=現実の社会での行動力”として重んじました。

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# 5本または3本の爪を持った龍の絵。
架空の生きものとはいえ、何かオーラを感じます。
蛇にこんな手足を描くと、可愛いかもしれませんが“蛇足”。

この映画『思悼』を見て思ったのは、ドラマ『トンイ(同伊)』のこと。
巨匠イ・ビョンフン監督とキム・イヨン作家、それにそうそうたる人気俳優たち。
しかし、史実を調べた後に『トンイ』を回想し、トンイの子の第21代王・英祖と“米櫃事件”を考えると、全てが“蛇足”または蛇足事件に見えます。
『トンイ』というドラマは史実からかけ離れた蛇足、米櫃事件は英祖のそれまでの政治姿勢を無にする蛇足・汚点だったと思います。

話は転じて、このところ騒ぎになっているカンナムのナイトクラブでの出来事。
「法律は信じませんが、正しいことは信じます
どんなにお化粧をして糊塗しても、仮面の下は見えなくても、加害者と被害者の心の中の真実は消えない。
法律に触れる・触れないではなくて、社会生活を営む上では、一般の人々からの倫理・モラルの観点からの裁きがあるのでしょう。
『記憶』でのヨンファの言葉には何かズッシリと重いものを感じました。

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「自分が“もう絶望”だと思った時に自らが終わる。
 しかし、本当の絶望になるまで闘い抜くんだ。
 お前たちの周囲には、
 支えてくれる仲間がまだいるではないか」

これは、ドラマ『華政』で、島流しになる第15代王・海光君(クァンへグン)が、これからの国のことを貞明(チョンミョン)公主と洪株元(ホン・ジュウォン)に託するために、残した言葉でした。

絶望を希望に変えて シーン1

テソクの許し

“ひき逃げ事件”で、テソクがスンホに取調室で言った事

「心からドンウのひき逃げのことを謝罪したいならば、
 目を逸らさずに、その事件を直視するべきだからだ」

「…」

「自分をごまかしてはいけない。
 よく考えてみろ」

「…」

「お前がやったことをだ!
 何て気弱な奴なのか?!」

「…」

「もう過去を捨てずに、
 自分のこれからの人生のためにも、
 過去の真実の記憶を思い出して、それを認めることだ!
 罪を認めるということは、許しを得るということではない!」

「…」

「ただし、許しを得るためには、
 お前が一生涯に亘って罪の意識を持ち続けることだ!」

「…」

「そして、最後まで辛い思いをすることだ!」

「…」

「最後までお前のことは見ている。
 どんな生き方をするのか…」

「…」

「それに、どのような謝罪をするのか…」

「…」

「謝罪して、どのように前に進むのか…、
 それを、見ている」

「…。チェソンハムニダ(もうしわけありません)。
 チョンマル(本当に) チェソンハムニダ…」
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絶望を希望に変えて シーン2

ウンソンの許し

テソクとウンソンがどのように悲しみを乗り越えて、スンホを許すのか?
ということにも注目していたのですが、次がウンソンとスンホのシーンでした。

ウンソンは拘置所にスンホを訪ねました。

「私はあなたを憎むわ」

「…」

「許すこともできない」

「…」

「15年もあなたのことを憎みながら探して来たんだわ。
 でも、あなたは私が憎むには値しない弱虫だっただけなのね」

「…」

「頭にくるくらいだわ」

「チェソンハムニダ」

「さらに憎むべきことは、あなたにとっては、
 ドンウのことが心の傷にはなっていないことだわ」

「…」

「でも私は、ドンウがあなたの傷ではなくて、
 希望になって欲しいと思う
 あなたは私たちの痛みを拭い去ることはできないけど、
 私たちのドンウがあなたの“希望”になって欲しい。
 いつもドンウのことを思って、
 社会に出て、あなたの役目を果たして欲しいわ」
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「…」

「それが、ドンウがあなたにあげる“機会と許し”だわ

「…」
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そして、ウンソンは“ドンウの木”に花を添えました。

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私達の『記憶』
(締めにはAPBさんからのコメントを再度アップしておきます。
 お陰様で『記憶』の次のドラマに進めるような気がします)

自首してきたスンホとテソクの会話
テソクの表情が変化し、
#「最後までお前のことは見ている。
 どんな生き方をするのか…」#
と万感こもった言葉を言いますが、
「見守っている」という温かさも含んでいるように感じました。

拘置所でのスンホとウンソンの会話
素晴らしい。
憎しみだけで終わらなかった。
こちらまで すがすがくなりました。

イ・ソンミンssiの熱演が光ります。
父親に手を引かれエレベーターに向かうシーン。
少し前かがみで小走りです。
エレベーターから父親を見つめて顔をゆがめる様子。
あのお菓子が好きだった少年の頃のテソクに
時間が戻ったかのよう…。
セリフ無しで父親への確執と許しを体現した演技は圧巻でした。

再審法廷でのジョンウォンの証人喚問で、
言葉を失うテソクに、
こちらまでドキドキしました。

ジョンウォンは、最初いけすかんなあと思いましたが、
芯のある女性でした。
後任弁護士をリストアップして
法律事務所を去ったこと。
それは同時にイ・チャンムとの決別。
そして真実の証言。
チャレッソ !!

トリビアですが、
ソンファのコピー用紙についてのセリフ。
この回と、以前にも、かたすぎるだの柔らかいだのと
ストーリーとの関連がわからなかったのですが、
納得しました。
これも間接広告でした。
コピー用紙の箱の「miilk」の文字がアップだったり
メモ用紙にもちゃっかり「miilk」と印刷されていたり。
これ、企業名ですね。
制作陣の資金調達へのご努力、お察しします。

(2016.06.17:by APB)

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