六龍が飛ぶ 第16話(下) 最期の朝


海東甲族の閔氏を族長とする一族は、ホン・インバンが用意(脅迫)した書状に署名することに傾きます。
その書状は一族のチョ・バンの謀反の背後には李成桂(イ・ソンゲ)がいるというものです。
明々白々なでっちあげの書面ではあるものの、権力の圧力から財産を守るには“従うか戦争か”の二者択一しかありません。

1633_201512101425111c0.jpg

そこに現れたバンウォン+ムヒュル+ヨンギュ

1633a_20151210142511dba.jpg

バンウォンは火薬or石の箱を東屋の真ん中に置いて、
「これは火薬です」
1633b_20151210142510144.jpg

「?!」

「!」

「いったい何をするつもりなのか?!」

「私の話が終わるまでは誰もこの場に入ったり、
 この場を離れないで下さい!
 出ようものなら首をはねます!」
1633c_20151210142647a07.jpg

ドジョン達は爆発物をバンウォンが持ち出したことで驚き

「いったい何をするつもりなのか?!」
1633d_20151210142648762.jpg

バンウォン

「その書状の内容は、
 倭寇や紅巾族との闘いで功績を挙げて来た、
 イ・ソンゲ将軍を謀反の罪で処罰するということですよね。
 我々李一家を滅亡させるということですよね」

「…」

「この高麗ではよくある話です。
 ねつ造された不正義と腐敗のために、
 一族が滅びるということは日常茶飯事ですね。
 この高麗では…」

「いったい何を言い出すのか?!」

「この海東甲族の面々もこの茶飯事を楽しんで見ているのですか?」

「お前が海東甲族の何を知っていると言うのか?!」
1633e_20151210142649d13.jpg

「私は知っています。
 少なくともこの30年間の間、民が苦しんでいるというのに、
 あなた方の一族は江原道(カンファド)で政治から離れて、
 上手な詩を読んだりで、知らんふりでした。
 だからこそ、これまで民の苦しみを尻目にして、
 歌にして残してきたのですよね」

「…」

「それだけではない! 
 この700年もの間、
 いったい何をしてきたというのですか?!」

「…」

「歴史の傍観者だった…。
 それが海東甲族一族ということです!」

「貴様! 失礼だ! 死ぬ気なのか?!」

「ええ、いい質問ですね。私も命がけです

そして、
「ホン・インバンに屈して、
 これからの700年を恥を忍んで生きるつもりなのですか?
1633f_20151210142650c1b.jpg

バンウォンが準備してきた書面の内容は直訴状

…都堂を手中にしているホン・インバンとキル・テミ、
 さらにイ・インギョムの配下の者たちを弾劾する。
 彼らは武力をもって、
 チョ・バンやその民の土地を奪っただけでなく、
 チョ・バンのことを謀反の罪に陥れ、国家を混乱させた。
 処罰をお願いします。

「もしも断ったらどうするのか?」

「もう時間がないので、決断を急いでもらいます」
と、火薬の箱の導火線を伸ばして、その先に火を付けます。

1633g_201512101423244e3.jpg

「なんてことをするのか?!」

「署名してもらえないならば、
 私はあなた方と一緒にこの世から消えます」

「私は火薬が怖い。そなたの意見は正しい」と一族は次々に署名を始めます。

1633h_201512101431014d3.jpg

最後に残るのはミン・ジェ

「本当に火薬なのか?」

「疑うというのなら、それは爆発したら分かります」

周囲の一族がミン・ジェに署名を急がせます。
「もしもこれがそなたの“はったり”だとすれば…?」

「では私の“はったり”に賭けるのですか?」
1633k_201512101431008b5.jpg

…プな…、プニや…。

実はバンウォンも祈る気持ち

バンウォンは中身を知りませんから、さすがに震えます。
1633m_20151210143058860.jpg

ムヒュルが、
「分からないのですか?!
 トリョニムの顔が震えているんですよ!
 嘘ではありません!」
1633n_201512101430572bd.jpg

ついに折れてミン・ジェが署名

1633p_20151210143057e73.jpg

バンウォンは導火線を切ります

「皆さんの決断に感謝します。
 私はこれから都堂の3人衆たちを必ず排除します」
1634_20151210143056025.jpg

胸をなでおろす一族

1634a.jpg

箱の中を開けるミン・ジェ

「!」
1634b.jpg
(# プニが選んだのは石の箱でした)

「そなたの顔は私同様に恐れに満ちていた。
 なぜあんな演技ができるのか?!」

「私も一緒です。
 火薬なのか、石が詰まっているのか、
 それは知りませんでした。
 私も同じ気持ちになるために、私を試しました。
 私も同じ恐怖を共感するためです

「!」
1634c.jpg

洞窟ではドジョンとナム・ウンがバンウォンの無鉄砲を恐れているところにプニ

「火薬ではないですよ。
 バンウォンが“箱を一つ持って来てくれ”と言ったので、
 中身を確かめて、石が詰まった箱を手渡しました」
1634e.jpg

「?!…、 どうして…?」

「私にもよく分かりませんが、
 何となくバンウォンの計画が分かるような、
 そんな感が働きました
1634d.jpg

ホン・インバン、キル・テミだけでなく、イ・インギョムの弾劾までをも求める書面に署名を得たバンウォンでした。

ヨンギュは、
「何であんなことができるのですか?」

「俺だって、閔氏一族の誰だって、
 火薬に脅されたのではなくて、大義のために署名したんだ。
 ただ、そう思いたいんだ」

…なんて凄い人なんだ…。
(ムヒュル)

# これはミン・ジェの心理を読んだ作戦でした。
 目の前の恐怖に人はおののく。
 しかし、それくらいの脅迫には負けたくないという心理に、
 “国家のため、一族のため”という大義名分・言い訳を先に教えることで、
 脅迫に屈して署名したという恥ずかしさをカバー(覆い隠す)してあげる…。
 そんなバンウォンの心理作戦だっと思います。

「ヨンギュ、
 囲んでいるホン・インバンの手先から、
 一族を守ってやれ。
 ムヒュルは俺についてこい」

「はい、トリョニム!」
1634f.jpg

「トリョニム、朝の鐘の音です」

「そうだ。
 ホン・インバンの最後の朝だ
1634g.jpg

にほんブログ村テレビブログ韓国ドラマへ
1週間のランキング@「にほんブログ村」

<王朝絵巻 シーズン5>
孟子の教え

すでに成均館でのスキャンダル(第3話)には触れていますが、その思想的な問題点(当時)を調べてみました。

儒教・儒学の原典とされる四書(「論語」「大学」「中庸」「孟子」)五経(「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」)。

孔子は「仁(慈しみ)」の心を王道の最高の“徳”としました。
高麗第31代王・恭愍(コンミン)王も庶民への慈悲を大切に考えていました。
王妃は元から来たノグクコンジュ(魯国公主)で、偶然だとは思うのですが、孔子の生誕の地が中国の地方都市の魯州です。

儒教の基本となっている“王道”の“仁・義・礼・知・信”については、これまでも仁(慈しみの心)、義(私利私欲にとらわれない社会正義)、知(学ぶこと)、信(信じること)と、何度か触れています。

ただし、“礼”については一般的に「礼節」といわれるものの、孔子とその後の孟子の思想には微妙な違いがあるようです。
ネットなどで調べてみましたが、孟子が言う“礼”とは仁・義・知・信を実行する力と解釈できます。
時代と共に思想も少しずつ変わるのでしょう。
孔子の時代は安定期、孟子の時代は揺れ動く大陸情勢の中から生まれているそうです。
つまり、孟子は「仁義」と「礼」(礼は仁、義、知、信を実行すること)を“徳”としました。

二人の微妙な差ですが孟子は、「慈しみ(仁)」だけでは国を統治できないという思想です。
この実行力を強調した為に革新的とされ、明でまず禁書になり、その影響で成均館でも禁書になりました(第3話)

この影響なのでしょうか?
第7~8話でのバンウォンと先輩の儒学生は“実行力”を重んじる青年へと成長しています。

なお、
映画『王の涙(逆鱗)』では、王朝第22代王・正祖(チョンジョ:イ・サン)が、王が国家を統治するには、“細かなことでも実行力を伴わないといけない”そうすることで“世の中はきっと変わる”と最後に言います。
これは「中庸」の引用でした。

ちなみに老子は戦うことを全面否定しています。
なお、
朱子学が男尊女卑を認めたことのように基本的な儒教の解釈が時代だけでなく時の治世者たちによって曲解されていることは残念なことです。

写真はイ・サンが築城した「華城(ファソン)」の南の正門・八達門(パルダルムン)です。
(なお正殿に向かう門が「中庸門」です)
paldamun.jpg
(2015.04 撮影)


1週間のランキング@にほんブログ村
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

王朝用語・脚本家など
ドラマと映画・感想など

openclose