六龍が飛ぶ 第1話(下) 高麗武士の信義



チェ・ヨン(『信義(シンイ』より)
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(photo by nana)

六龍が飛ぶ 第1話(下) 高麗武士の信義

イ・インギョムの屋敷では子豚に母乳をあげさせて飼育していた。
そのためにカプンの母親も出産後に連れられて来ていました。
そして、カプンがおんぶしていた赤ん坊はお乳ももらえずに亡くなります。
泣き崩れたバンウォンですが、他方では“あんな屋敷は父親と相談して一掃してやる”との思いを強めます。

開京の城門に到着したイ・ソンゲと息子たち

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最初に見かけたのは、城門を出て迎えに来た(化粧をした)キル・テミでした。

「高麗では一番の剣士だといわれる、
 キル・テミ将軍ですね?」

「ははは、人はそう呼ぶようだな。
 私がホン・リョンを倒したからだ。
 私もイ・ソンゲ将軍にお会いできて嬉しい。
 あなたは弓の名人だと聞いています」

「…」
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イ・バンウ(長男)

「どころでご用件の向きは…?」

「あ~、
 イ・インギョム承相が歓迎の大宴会を準備していますので、
 今夜は屋敷にご案内します」

「…」

「是非来て下さいよ」

「…」

「ともかく伝言はお伝えしましたからね」
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バンウォンらの報告を聞くイ・ソンゲ

「何と、ペク・グンスが密偵だったのです」

「それだけでなく出産後の女を連れさっていたんです」
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「私はそれをこの目で友達と一緒に見ました。
 友達はまだ屋敷に捕らわれています。
 救い出さないといけない」

「…」

「アボジ!」
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チョン・モンジュが訪ねます

「ポウン先生」

「将軍」

「お久しぶりですね。
 ところで私は、
 都堂(朝廷)では何をすればよいのですか?」

「元との関係を断ち切り、戦争を止めさせることです。
 城内は飢えで死んだ百姓たちの死骸で溢れています。
 こんな時に戦争ができますか?
 それは承相たち貴族のの身の安全のためだけではないでしょうか?」

「先生のお考えと私の考えも同じです。
 どこまで力添えになるか分かりませんが、
 イ・インギョムを倒して、戦争をなくします」

「将軍!」

「私はまだ戦いには負けたことはありません」
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イ・インギョムの屋敷

迎えるインギョムとメインゲストとして招かれたソンゲとバンウォンたち兄弟。
バンウォンはイ・インギョムに顔を覚えられていました。

「あれ、そなたは…?」

「…」

「イ将軍のご子息ですか?」

「息子がご無礼を働きました」

「やあ、そなたは何てことを! 
 イ将軍の息子のくせに食べ物を盗むなんて…?!」

「いいえ、
 私はここに密偵を探しに忍び込んだのです!」

「密偵だと?!」

「ええ、
 私の私兵の一人がこの屋敷に忍び込んだそうです」
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「あ~、そうだったのか…?
 しかし、事情は分かりません」

「それに出産後の女性が、
 この屋敷にたくさん連れて来られているとか聞きました。
 ご存知でしょうか?」

「そんなことはありえませんよ」

「私は見たぞ!」

「なにか見間違いをしたんだろうな、はははは」
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歓迎の宴

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バンウォンは例の子豚の肉を投げ捨てます

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乾杯の後、さらに楽しみをとイ・インギョム

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イ・インギョムが書いたシナリオで演劇が始まります

「さ~、この高麗が元に降参してから86年目です。
 コンミン王は元の文化を廃し、髪型も変えて、
 キ・チョル卿を退けて、北の失地を回復しました…。
 しかし、この地は、
 チョンナン等のオオカミや飼い犬により支配され…」と、
チェ・ヨンやイ・ソンゲのように武官としてコンミン王に忠義を尽くした者たちが、武士の時代を作ったとの、風刺でもありました。

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ほくそ笑むイ・インギョムですが…。

「!」
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「チョンナン…」の言葉でイ・ソンゲは反応しました。

「兄貴…」

…他の誰かが知っているのだろうか?」
 いいや、将軍と私だけの秘密だ…。

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(イ・ジラン:実在のイ・ソンゲの補佐です)
# チョンナンとはチョ・ソセンのこと。

イ・ソンゲと父親との1356年の会話

「チョンナンは、
 今や高麗の裏切り者のチョ・ソセンなのだ。
 門を開け!」

「チョ・ソセンが裏切りものなら、我らも同じでは…?
 すぐに兄貴を説得しないといけません」

「いいや、もはや奴は高麗の敵だ。
 分からないのか?
 我々がここで高麗のために忠義を果たせば、
 チョ・ソセンの財は全てが我々の物だ」

「できません。私は武人です。
 チョ一家との戦いはできません」

「お前はここで家系を絶やすと言うのか?」

「アボジ…」

「チョ一家とはお前だけの個人的な付き合いだ。
 もっと目を見開くのだ!」
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# 詳細は調べていませんが、場所は『信義』でキ・チョルが逃げ込んだ元の“東征元府”ではないかと思います。
元の大使館兼前線基地だったところです。
“冊封制度”により高麗も兵を出していたので、北方守備の趙一族の中から、李成桂の兄貴分が東征元府を守備をしていたとのフィクションだと思います。
「元」との融和によって守備を維持していたようですが、イ・ソンゲの父親はこれを“高麗への裏切り”と見ていました。
趙一族との親交が深かったソンゲは父親の意向には従えませんが、やむなし。
城門から侵入したのは“高麗軍”のようです。
史実では、北方の失地をチェ・ヨン将軍らと共にイ・ソンゲが奪回したとされますが…?

入城した軍にチョ・ソセンは、
「誰かが裏切って門を開けた!
 北門に向かえ!」
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「…、なりません」
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「お前が開けたのか…?
 きっとお前もまた高麗の裏切り者になるだろうな」
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演劇は続き、
「高麗のイヌは犬のままだ。 
 同じ運命を辿るのだ!」
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歓迎の宴のあと

「どうでしょうかな?演劇を楽しみましたかな?」

「開京の人々はつまらないことで喜ぶ…」

「そなたが自分の兄貴分のチョ・ソセンを裏切ったから、
 演劇はさぞ嫌だっただろうな?」

「…」

「そなたにはもっと大きな大儀があったかもしれないが、
 開京の儒学者やチェ・ヨン将軍は最も忠義を重んじるんだ」

「このためにハンジュには密偵を送り込んだのですか?」

「いいや、私ではない」

「嘘つくのですか?!」

「そなたが戦いに明け暮れる理由がこれで少しは理解できた。
 そなたは民・百姓にはこの上なく寛大だが、
 それが開京に上京した理由か?
 いったいそなたの野心は何なのかと思っていたものの、
 それは“裏切り者”の自分が許せないからだ

「…」

「しかしなぜ、もう自分を許さないのか?
 なぜ、ここの政界に入るのか?
 なぜ私のことを邪魔するのか?!」
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自分の過去を知られたイ・ソンゲは中央の政界では弱みを握られていることを知り、
「…、どうか…」

「…」

「今回は他の道を捜して下さい」

挨拶はないのかとのインギョムの言葉に、イ・ソンゲは深く頭を下げます。

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# イ・インギョムが“高麗武士”としてのイ・ソンゲのプライドに迫り、その弱みに付け込むシーンでした。

その場を見ていたバンウォン

…アボジ…。

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(字幕・“第一の龍”)
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5男坊のバンウォンの目に写る父親像…。
強い父親を求める気持ちは解せられますが、バンウォンはまだ子供です。
『信義』ではウダルチの隊長、チェ・ヨンは「負けそうならば撤退」と、命を無駄にしない事を信条にしていました。
弱いことではないと思います。

もう少し先のこと(史実と伝承)
高麗武士イ・ソンゲの心情

『六龍が飛ぶ』の第1話からあるように当時の国際情勢は、大陸では「元」から「明」へと勢力が変わり、他方では倭国(日本)の海賊が横行していました。
ただし、政界を牛耳る高麗貴族たちは元との既得権益にしがみついていますから、軍を「明」に対抗させようとしています。

こんな情勢の中で大国の明に対しての出兵などは「南の守りが手薄になるだけでなく、農繁期に若者を徴兵しなくてはならず、その上に、これからは長雨の季節に入る」と明への侵攻には反対する李成桂でした。
しかし、悲しい高麗の運命です。
結局はイ・ソンゲは武士ですから、王命には従わざるを得ません。
この王命の背後には高麗貴族・豪族の意図があり、彼らは台頭する高麗武士の力を削いでしまうとの策があったとされます。

1388年、イ・ソンゲは鴨緑江(アムノッカン)の中州の威化島(ウィファド)まで軍を進めますが、案の定、イ・ソンゲたちに立ちはだかるのは悪天候と食糧不足、それによって兵士たちの士気の低下が如実になります。

そんな時に無学(ムハク)大師の夢占いが現実化します。
“壊れかけた建物の3本の大きな柱を支える”という夢は、イ・ソンゲが妻の実家を訪問した帰りに宿泊した寺院でのこと。
その夢占いとは、崩壊する建物(高麗)の“柱という字には、王という字が入っている”というものでした。

イ・ソンゲは王命に背く大罪を“クーデター”で切り返すという覚悟でした。


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