朱蒙王子の高句麗建国伝説

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(先週末と日曜日の“日韓交流おまつり”での高句麗時代の衣装
@日比谷公園:2017.09.24)

<古代の韓半島>(5)
高朱蒙伝説と『朱蒙(チュモン)』

ドラマ『朱蒙(チュモン)』(2006)には“伝説の王子(Prince of Legend)”というサブタイトルが付いていました。
その伝説に基づいて、チェ・ワンギュ作家が書き上げた作品は、5割台の髙視聴率に支えられて10か月81話の放送でした。
その長い放送の2年ほど後にDVDで視聴したのですが、1話、1話が飽きさせない脚本・演出でした。

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1.高朱蒙伝説

作品のベースとなったのが、「高朱蒙伝説」です。
韓国『統一日報』2012年5月16日(日本語版)掲載、金両基(キム・ヤンギ:比較文化学者)「韓国史を彩る王たちの物語(10)」の内容は次のとおりです。

(古)朝鮮が滅んだ後に、高句麗・百済・新羅そして伽耶が興る。
伽耶を入れると実際は四国時代であるが、伽耶は後に新羅に併合されるので一般に三国時代という。

建国神話からみると高句麗は兄の国であり百済は弟の国であるが、新羅と伽耶は別々の国である。
百済の始祖温祚は高句麗を興した高朱蒙の子または義理の子であり、また他のいずれの国の始祖も天孫が天降ったいわゆる天孫降臨神話を共有している。

朱蒙は高句麗を興して始祖となり、姓を「高(こ)」に定めるがその前は「解(へ)」であった。
「本性は解であるが、いま自ら天帝の子であり日光を承けて生まれたといい、故に高を以て姓とした」
(『三国遺事』高句麗条)。
父神の名を解慕漱(へモス)といい「解」は日(へ)と同音であり日は高いところにあるから高と名付けたのである。
日(へ)や解(へ)と名乗るには恐れ多いので太陽は高いところにあるので高としたと考えると理解しやすい。

国造りの過程を神統譜からみれば、北扶余→東扶余→高句麗→百済の順に国が興り、その部族は古代ツングース語族である扶余族の流れをくむ。
北扶余は現在の中国東北地方に君臨した扶余族の一部であった。

この民族の移動の順を追うと太陽が昇る方向へと向かい、それはあたかも地中海から太陽の昇る方向の東に向かって移動する人々の流れと重なり合う。
地中海から太陽の昇る方向をアジアといい、逆に地中海に沈む太陽を追いかける方向をヨーロッパというがそれぞれの語源なのだ。
そこの古の人々の太陽崇拝が見えてくる。
檀君神話からその流れを想起してみれば、建国の流れが見えてくる。

古代朝鮮での高麗の位置づけは次の図の通りです。
韓国半島の歴史
(出典)康煕奉(カン・ヒボン)『古代韓国の歴史と英雄』実業之日本社(2011.10)より作成

「高朱蒙伝説」

朱蒙が生まれたのは
東扶余の金蛙(クムワ)王の時代である。
ある日金蛙王が優渤水の水面下の岩の上に
奇怪な動物が魚をとっているという報告を
漁師から聞き、鉄製の網でその動物を捕えた。
なんと唇が三尺あまりあり、三回も切り落とすと
美しい娘の姿になった。
娘は名前を柳花(ユファ)といい
水神・河伯の長女であるという。
河伯は天帝と称する解慕漱に侵された娘を許せず、
美しい娘を取り上げて追放した。

父の河伯に追放されたという
不思議な話を聞いた金蛙王は柳花を連れて帰って
部屋に閉じ込めておいた。
やがて身ごもり5升ほどの大きな卵を生む。
不吉に思って犬や豚に与えたが食べず、牛や馬も
そして鳥獣も避けるので柳花に戻した。
暖かく包んでおくと
一人の男の子が殻を破って出てきた
(『三国史記』始祖東明聖王条)。

卵から孵ったその男の子が朱蒙であり、
神童であるが故に金蛙王の王子から命を狙われ、
東扶余から逃れて高句麗建国への旅路に出る


2.ドラマの『朱蒙(チュモン)』

(1)ドラマの時代背景

古朝鮮の部族の統一がないままに、大陸の“漢”からの侵入受けている時代がドラマの背景。
クムワ王は、一端は引き取り育てたものの、神童・チュモンの命を狙います。
王子のテソも同じく、神童から“扶余”を守るという名目でした。

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(クムワを演じたのはチョン・グァンリョル)

上記の伝説にもあるように、チュモンは東扶余から逃れて、まずは扶余の大商団の下で働きます。
その際に、商団の行首(ヘンス)の一人娘・ソソノとの初めての恋がありました。

また、部族間の抗争、“漢”との戦争の中で大怪我をします。
そして、記憶も戻らないチュモンを救ったのが同民族・他集団のイェソヤ姫でした。
イェソヤとの間では、後のユリ王子が誕生します。

このように、チュモンを巡る二人の女性がいましたが、いずれも戦禍の中で生き別れとなります。

チュモンは仲間の勇者と共に山奥に砦を作り、古朝鮮(上記、滅びた朝鮮)の流民や大陸での奴隷となっていた朝鮮民族・農民を集め、徐々に村を大きく発展させます。
チュモンの武器は父・へモスから学んだ文武の中でも、弓の名人から受け継いだ卓越した弓の腕でした。

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(へモスを演じたのはホ・ジュノ)
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(母のユファを演じたのはオ・ヨンス)

(2)紀元前37年

チュモンが最初に再会するのがソソノ
ソソノは父・商団長(行首)の右腕だった男性と結婚していましたが、夫は戦いの中で戦死。
既に二人の息子を授かっていました。

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(度重なる戦いの中、チュモンの胸の傷をいたわるソソノ)
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ソソノの父親や周囲の勧めを受けて、また大商団の経済力をバックに、高句麗を建国。
ふたりは結婚して、それぞれ高句麗王と高句麗女王を名乗ります。

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(3)ユリ王子

時は流れユリが成人して、母の話と二つに折られた短剣を基に父がチュモンであることを知り、会いに行きました。
折れた短剣を符合し、親子が再会するのですが、その場面は感涙。
また、やつれたイェソヤをソソノが暖かく迎えました。

(生き別れになった頃のイェソヤとユリ)
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ただし、問題はソソノが連れた息子二人。
兄弟がユリの存在を許せず、暗殺を企てました。

(子供たちのことで悩むソソノ)
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ソソノの力で陰謀は未然に防げますが、ソソノは子供のためにも高句麗を離れて、半島の南方へと旅に出ます。
温かい半島の南部に国を作るのも、父親とソソノの夢であったからです。
こうして、ソソノとその子が百済の祖となるわけです。
百済の建国は、ソソノがチュモンの元を去った19年後の紀元前18年です

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3.最終話より

# 私が好きなシーンをリビューします。
ソソノが南へと去る時のイェソヤとの会話です。

「風が冷たいですよ。
 お体は大丈夫ですか?」
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「高句麗を去られると聞きました。
 本当ですか?」

「ええ」

「それはいけません。
 私とユリが負担ならば、私が去ります」
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「奥様たちのためでは決してありません」

「…」

「昔…、高句麗においでになったとか…、
 なのに
 陛下と私の結婚式を見て、
 高句麗の統一のために去られたそうですね。
 私のせいで苦労なさったことを思うと、
 胸が痛みます。
 奥様がいらっしゃるので私は安心して去れます。
 陛下のお世話をお願いします」
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「…」

私は欲張りな人間です。
 夢を実現させるために去るのです

 奥様こそ心を痛めないでください」
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『朱蒙(チュモン)』


来週は秋夕(チュソク:韓国の旧盆)です。
来週末頃には仲秋の満月を楽しめます。

ところで、夏の終わり。
今年は6月末からこのところまで約3か月に亘り、一般には「沙羅の木」とされる“夏椿”の約30本くらいの木を観察しました。
朝に咲いて夕方にはしぼむとされる、“はかない花”です(せいぜい2日間です)。
朝の散歩の際に、見つけたのはわずか8つの花だけでした。
それも、花が咲いたのは約30本の中の4本の木だけでした。

(7月に撮影)
mid aug

(8月に撮影)
sep mid

(現在は花が咲かなかった実も弾けて種を撒いたようです)
sep first

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王は愛する 第22話(上) リストを抜き取れ!

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(23日の空はこんなでした@日比谷)

王は愛する 第22話(上) 貢女のリストを抜き取れ!

ワンビ媽媽がサンを獄中から出していました。

「元の使節団の送迎のために参りました」
(サン)

「…」

「世子チョハ…」

「…」

「師匠!」

「何なのか、その衣装は?」

「私が着せ替えました。 素敵だわよ」
(王妃)

「光栄です」

「あなたには特別の才能があると聞いていますよ」

「いいえ、そんなことはありません」

「私が話しておいたのだ」
(師匠)
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元成殿を出た3人

「俺たちにはあと半日残っている。
 明日はソファは元に連れられて行く」

「そんなことしか言えないの?!」

「何が?」

「もう計画が練ってあると思っていたのに!」

「お前の先生こそ、何か計画があると思っていたからだぞ」
(ウォン)

「何とか独自の案を練りましょう」
(リン)

「あんたは他人頼みなのね?!」
(サン)

「じゃあ、お前は何なのか? 
 特別の才能があるんだろう?!」
(ウォン)

「二人とも…、いい加減に…」
(リン)

「私を投獄したのは誰かさんのご両親だったわ」
(サン)

「俺を責めるのか?
 俺のオンマのことか?」
(ウォン)

「そこまで!
 俺たちは判府事を救わないといけないんだぞ」
(リン)
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イ・スンヒュ師匠とワンビ

「媽媽こそ、あのフビライ大王の娘ですよね。
 ソファの名を貢女の名簿から外すくらいは簡単でしょうに…」

「私がなぜ事をわざわざ複雑にするのかと尋ねているのですか?」

「何かのお楽しみに違いないと想像せざるを得ません」

「世子が初めて歩いた時のこと…、
 歩き始めてしゃべり始めたころ、
 私はいつも“早く王になるのです”と言い続けました。
 少しでも躊躇を見せると誰かが転覆を企てます」

「彼は反抗心が強い」

「ええ、何も聞かなかった…。
 しかし、私のところに最初に頼み込んで来ました。
 “力が欲しい”と…」

「…」

「そうさせたのは彼女のお陰です」

「すべてが女の存在というわけですね?
 壊れやすくて危うい動機だが…」

「あなたは最高の師匠だとのこと。
 国を治める男に関しては、あまり買い被ってはいけませんね。
 女一人も抱き留められないような男では、
 国を治めることはできません

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3人

「俺たちは先手を打つ。
 彼(ソン・インのこと)は王の力を後ろ盾にしているから、
 先に動かれると事は大きくなる」

「心して置きます」
(リン)

「どうもついにソファに会えたようだな」

「私のこと?」

「ああ、他に誰がいると言うのか?」

「これで、大丈夫ですか?
 先にいくところがありますから…」

「ああ。
 ところでソファはこれまで一人でやって来たのか?」

「あ! ちょっと!」
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リンのところに駆け寄って行きますが、チマを踏んで…

「素敵過ぎる服なので…」

「…」

「ええ、無駄だわね」

「…」

「アボジには持病があるわ。
 心臓に係ることなので、あまり重圧をかけないようにね」

「薬は要りますか?」
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執事のコ・ヒョンを別の場所に移したものの、見張る者がいました。
ソン・インの手下をおびき寄せる作戦です。

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コ・ヒョンは土地台帳が入った箱を抱えています。

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チン・グァンが全てを見ています

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ソン・インの隠れ家

「不自由はないでしょうか?」

「お陰で、しっかり食事は頂いています」

「まだしゃべる気はないようですね?」

「私の財産は全て娘に譲った。
 娘に直接聞いて下さい」

「娘さんを宮中から連れ出すのは思っていた以上に難しい」

イ・スンヒュを見かけたので、ソン・インは「謀反の計画」だと思います

「巻き込まれたくないなら、財産目録を手渡して欲しい」

「断ったら?」

「まず、あなたを元に送って、
 あなたはどこかの穴の中で死ぬ。
 次に、世子の企てが暴かれる。
 そして、世子に加担した者や、あなたの一家は奴隷となる。
 最後に財産は没収される」

「…」

「分かりますか?」
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そこにムソクが来ます。

「執事の居場所が分かりました」

「金華亭を去った後の場所です」
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ソン・インが出て行った後に隠れ家に侵入するリンたち
閉じ込められていた部屋ではウン大監が心臓発作を起こしていました。

「オルシン! ワン・リンです!」

「…」

「お嬢さんから預かった薬です」
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フラタイとサンの作戦とは…?

「やあ、フラタイ! 我らの公主は元気か?」
(元からの全権大使)

「ええ、ワンビ媽媽のお付きのウン・サンをお連れしています」
(フラタイ)

「どこかで見たような…?」
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# 全権大使は、リンと共に逃亡しようとしていたサンを思い出します。

サンの“特別な才能”とは?

「これはお土産の“高麗人参”ですよ。
 きっと皇帝もお喜びになると思います」

「お~!」
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「高麗人参の中でも、
 選りすぐりの最高の漢方薬ですよ!」

と言いつつ、全権大使の腰から朝貢の目録が入った箱の鍵を抜き取ります。

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フラタイに渡し、貢女のリストを抜き取らせます

…サン(山)

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# ウン・ヨンベクの長女サン(山)と読めます。

「実はですね…、
 月に一度くらいしか世子がワンビ媽媽に会えないので、
 世子もワンビ媽媽も宮中ではとても孤独なんですよ…」

「お可哀想に…」
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サンは喜怒哀楽に満ちた演技をしつつ、鍵を戻しました

「さ~て、ワンビ媽媽の御傍に戻らないと…」

「…?」
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既に箱詰めになっていたものの、上手く抜き取った貢女のリストでした。
いつも怖い顔をしていたフラタイでしたが、笑顔のサンとの今回の共同作戦は小気味よいパフォーマンスでした。

師匠が言っていたサンの“特別な才能”は演技でした。
先日韓国からの出張者と話をしていた時、『王は愛する』の主人公を演じるイム・シオンとヒロインのイム・ユナに話題に及びました。
一般的にイム・シオンの演技力(喜怒哀楽の表現)には定評ができたそうです。
また、比較すればユナはまだまだとのことですが、私は今回の演技に満足していますので、ちょっとだけ反論しておきました。

なお、話によれば儒教(中でも朱子学)一辺倒の<朝鮮王朝>時代に比べて、高麗の女性の方が伸びやかだったといわれているそうです。

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王は愛する 第21話(下) 王妃の配慮

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# 先週末は恒例の“日韓交流おまつり”でした(ライブステージ@日比谷公園)

王は愛する 第21話(下) 王妃の世子への取りはからい

チェ・セヨン宦官がワン・ヨンの屋敷に来て、リンのことを伝えました

「チュサンチョナの兵士と戦い、しかも元に行くと言っています。
 これだと、ワン家の存続すら危ぶまれます!」
(チョン)

「言葉に気を付けなさい。
 ワンビ媽媽がそう言ったのか?」

「ええ、ご子息がサンお嬢様のお付きとして同行するとのことです。
 つまり、ワンビ媽媽の命令ですから、
 これまでの騒動の罪は帳消しになるということです」

「どうか、感謝の意を伝えて下さい」
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チョンは、サンアガシは自分の婚約者だと言い張り、再度「チュサンチョナにお願いする」と。

「…」
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リンはチェ・セヨン宦官がソン・インの手下だと気付いています。

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チェ・セヨンが屋敷を出ると、いつもお騒がせの盗賊二人

土地台帳が入った箱のことをしゃべるので、チェ・セヨンが知ることになります。
土地台帳は執事の手で、まずは“金華亭(世子の私邸)”に運ばれたようです。

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タンとリン

「立ち聞きしたわ。
 サンお嬢さんをオラボニが助けて逃げようとしたけど、
 また捕まっていることだわ」

「心配するな。 チョハが何とかしてくれる」

「アガシが貢女になるの?」

「そうはさせない」

「もしかして私の身替りとなったなら…」

「それは違う」

「ソファがサンお嬢さんだと分かったのは、いつなの?」

「最近だ」

「恋慕しているの?」

「…」

「顔を見ていると分かるわ」

「心は見えないのに、なぜ分かるのか?」

「…」
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「どうしたのか?」

「世子チョハもサンお嬢様に恋慕だわよね…?」

「…!」

「世子チョハがお嬢様を見る目で解るわ。
 でも、それでも大丈夫だと自分には言い聞かせているのよ。
 ソファは身分が低いからそれで良いと、自分に言い聞かせているのよ。
 でも、チョハはソファを可愛い花とか、
 可愛い子犬だと思っているに違いないかと…?」

「タンや…」

「オラボニにはお願いがあるわ。
 オラボニがサンお嬢様に恋しているなら、
 どうか遠くに連れて行って欲しいわ。
 でなければ私がそうする。
 私ってそんな人間なのよ」

「お前はいつまでも子供の時と同じみたいだな」

「何が?」

「なにかあると泣き出して、泣き出すと止まらない。
 そして寝てしまって、起きたらまた泣き出す…」

「チョハの心の中の一番目はサンお嬢さんなのよね?」

「分からない…」

「私は、オラボニムがチョハの心の中では一番だと思っていたのに…」

「俺なのか?
 …タンや」

「ええ」

「お前はすぐに世子嬪となる。
 つまり世子の妻として世子が選んだということだ」

「…」

「泣いてばかりだと、世子を困らせることになるぞ」

「はい」
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ワンビ(王妃)がウォンとリンを呼びます

「ワンビ媽媽が使節団を送るための手伝いを求めていらっしゃいます。元成殿にすぐに来るようにとのことです」と、それぞれに使者が出ました。

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「昨夜はソファに会った」

「謹慎中では?」

「塀を乗り越えるのは得意だって、お前も知っているだろう?」

「問題が発生します」

「藪を突っつくような話はよせ。
 何を言いたいのか?」

「彼女は大丈夫だったですか?」

「泣いてはいなかった。
 いや、俺の前で涙を流すような女じゃないな。
 寝ている時だけだ」

「…」

「オマ媽媽は“世子には3人が必要”だと言った。
 もちろん第一はお前、ワン・リンだ。
 その次が…」
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世子と師匠

「呼んでも来ないと思っていたから、
 フラタイに拉致させて連れて来たわ」

「ご無沙汰です師匠」

「お元気でしたか世子チョハ」

「この場は、彼にはふさわしくないので、連れ出すべきです」と、リンはチェ・セヨン宦官を向きつつ言います。

「良いだろう。
 第6感がある者はこの世に少ないからな。
 他の者も人払いしましょう」
(イ・スンヒュ師匠)
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「世子チョハ。
 単刀直入に言いますが、権力が欲しいのでしょうか?
 それとも陰謀を練りたいのです?」

「?! 
 私はまだ何も言っていません」

「いいや、私はここにはいなくとも、
 高麗にはたくさんの卒業生たちが根を張っていますからね」

「…」

敵の中心人物がソン・バンヨンの従弟のソン・インだということまで把握していました。

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「チウォルという妓楼に住んでいます」

「私は世子と王との狭間には入りたくないので嫌だ」

「冷たい言葉…」

「権力闘争だろうが、陰謀試合だろうが、
 片方の人が傷つくのは好まない」

「だから師匠を呼んだのです。
 傷つく人を最小限に抑えるためには、どうすれば良いかと思って…?」

「何もしないことです」

「?!」
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「何もしなければ犠牲者も出ません」

「分かりました。 では自分でやります。
 遠くからお越しくださって、すみませんでした」

「ただし、ウン判府事(財務大臣)はこれまで7年間もヤンガンダン(#)を支援して下さった。
 そして、大監の娘を7年間育てて来ました」

「では助けて貰えますか?」

「私は何もしません。
 私の生徒たちが助けてくれます。
 生徒たちを信じて下さい」
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# トタ山(流刑地)にあるお寺。
サンが育ったところです。
サンの父のウン大監は毎年、衣食住だけでなくお酒も手配していました。

「リンや」

「はい、ワンビ媽媽」

「師匠の生徒が待っているから、中に通しなさい」

「?!」
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「…」
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(呼び名)

先々の放送を聞いていると、ウォンがワン・リンの肩書を「(正または従の)六品の検察官」と称しています。
おそらく、今でいう検事(コムサ)の地方局長クラスではないかと思います。
<朝鮮王朝>では正六品の「監察」なので、これからはワン・リン監察と表記しておきます。

また、サンの父親のウン・ヨンベクは判府事(パンブサ)と呼ばれています。
<朝鮮王朝>では判事(パンサ)は従一品で大臣クラスでした。
英文字幕では“財務大臣”となっています。

さらに、これまでは黒笠の男をムスクと表記していましたが、ソン・インは“ムセク”と呼びます。

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王は愛する 第21話(上) バックグラウンド

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(月曜日の東京駅・八重洲中央口)

王は愛する 第21話(上) それぞれのバックグラウンド(背景)

ウォンは自分の命令に従った兵士の肩をポンポンと叩いてねぎらい、投獄されたサンのところに向かいます。

「世子チョハは謹慎を言い渡されたと思っていたんだが…?」
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身分が明らかになった後の最初の対面

「…」

「…」

「世子チョハ…」

「そんなふうに呼ばれるなんて、本当に不思議だ」

「…」
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「それはリンの衣服だな」

「ええ…。
 逃亡するために貰ったのです」

「お前の身分は俺よりも先にリンが気付いたと聞いた」

「ええ」
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「俺が誰なのか、いつ分かったのか?」

「あの結納の日に、私の家に入らしたから解ったのです」

「あの顔を覆っていた女性が…?」

「ええ、私でした」

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「ではワン・ジョンと共に、
 アバ媽媽が招待したのもお前だったのだな?」

「ええ」

「では全てを見て知った…。
 俺が膝を付いたことも…?」

「はい」

「でもまた戻って来てくれた。
 それに、切れた腕輪の代わりにモッコリ(ネックレス)をくれた。
 氷も傷口に当ててくれた…。
 世子嬪に選ばなかったことで気を悪くしたか?」

「すみませんでした」

「詫びを入れるのか…。
 そんなしゃべり方が本当に不思議だ」

「…」

「リンが投獄された時も、ここに来た」

「…」

「そこに座って二人でお前のことで話をしたんだ。
 さあ、近くに座ってくれ」

「できそうにありません」

「俺が世子だからか?
 それとも、他の女性と結婚するからなのか?」

「…」
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「なぜ質問しないのか?
 なぜ俺が他の女性を選んだのかと…?」

「…」

「他の男が心の中にいるということなのか?」

「…。ようやく分かりました。
 “タンお嬢様が世子嬪になる”理由をリン若旦那から聞いたからです」

「では、代わりに元に送られることが分かっていたのか?」

「まずは行ってから…」

「解っているのか?!
 ひとたび元に行くとどうなるのか?
 年寄りの官僚の5番目とか6番目の側室になるということだ。
 それが望みなのか?
 それで良いと思っているのか?!」

「私は…」

「俺が許さない!」

「…。
 アボジのことが心配だったからです」
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「アボジのことを聞けば…」

「探しているところだ」

「アボジのことをお願いしても良いですか?」

「俺が責任を持つ」

「リン若旦那は私のためにチュサンの兵士と戦いました。
 だから…」

「俺が責任持つと言っている。
 …。
 他にハンチョンとしての俺には頼みがないのか?」

「ソファがハンチョンには感謝していると伝えて下さい」

「…」

「たくさん助けて貰いました。
 後で思うに、いつも私を守っていてくれたということです。
 どうかハンチョンに伝えて下さい」

「それは嫌だ」

「チョハ…」

「一点に集中してくれ。
 以前の女にはどうやって戻るかということだ。
 俺が知っている女に戻って、
 ハンチョンには自分から伝えろ」

「…」

「他のことは俺がやる」
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「…」
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チャン・ウィ

「判府事は宮中の建物の中にはいません。
 人の話では個人の屋敷に連れられて行ったとのことです」

「どこなのか?」

「“忠孝堂”と呼ばれるところの裏です。
 裏手は妓楼とも繋がっています」
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「チョハ!」

「オマ媽媽が動いたか?」

「チュサンチョナの寝所に向かわれました。
 だれも引き留められませんでした」
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王の寝所

「ほ~、歳をとるにつれて悪女になっていくな…」

「忙しいようですから、手短に話します。
 急ぎではありません。
 ともかくここに王妃が来たからには隠れるのは失礼です」
(隠れたボヨンへの言葉です)

「元に帰る使節への送迎会を開きます」

「望むようにすれば良い」

「準備には、ちょっと手助けが必要です」

「これまでに私に許可を求めたことがあるか?」

「では進めます」
2111c_2017092621514159e.jpg

ここでボヨンが、「チョナはワンビ媽媽の体調を気づかっておられます。王妃の体調を診させて下さい」と申し出ますが、ワンビは「チュサンチョナは私よりも側室選びが気がかりでしょうに」と。

2111cc_201709262151390f8.jpg

ウォン

「どちらが辛いだろうか…?」

「え?! チョハ…」

「自分には気持ちを持っていないと解っていながらも、
 傍に置いて毎日心を痛めることと、
 全くもう会わないことと…?
 期待だけを持っていることが…?」
2111d_20170926215138744.jpg
# ソファから貰った銀のモッコリ(ネックレス)

「ソファが貢女の名簿に挙がっているのか?」

「ええ、使節団の手に渡されています」

「いつ帰国する予定なのか?」

「一日半の後です。
 明後日の早朝に立ちます」

「時間がない。師匠が必要だ。
 まだ見つけてはいないのか?」

「…」
2111e_20170926215712a93.jpg

イ・スンヒュ師匠は、開京の城門に入ったところで、フラタイが用意した籠から抜け出しました。
その後は、居酒屋や妓楼で飲み回っていました。

2111f_20170926215710f3f.jpg

ただし、目的は酒と情報収集

2111ff_201709262157091fd.jpg

ようやくフラタイは師匠を確保

「思っていたよりも早く見つかったようだ」

「は~」

「まだ味わっていない酒があるから、
 それぞれ一口ずつ賞味させてくれ」
2111g_201709262157083c0.jpg

ソン・インが「土地台帳を早く探そう」と言っているところ。
イ・スンヒュ師匠はワンビ媽媽の中宮殿(元成殿)に引き立てられています。

イ・スンヒュはソン・インを見ています。

「…」
2111h_201709262157069df.jpg

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韓国でのTV放送は終了しました。
KJSではこれから後半です。

前半では“貢女”の問題で揺れました(もう少し続きます)が、これからは宮廷内での王権を巡る不穏な動き。
第1話から印象が強かった“元と高麗”との混血の世子への風当たりがクローズアップされます。
ウォンが流刑にされていたイ・スンヒュ先生を訪ねて質問した、“狼犬”=“混血の世子”の問題です。
ウォンがなぜ自分を“狼犬”に例えたのか…?
ですが、
ウォンとワンビ(王妃)にとっての最大の敵は、反“元”派のソン・インです。

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王は愛する 第20話(下) 王への命令

王は愛する 第20話(下) 「彼女に触れるな!」~王への命令

サンとワンビ媽媽

「は~。
 実は世子も世子であることを嫌っていた。
 まだ若かったから…」

「そう思います。
 今の宮中のチョハとは全く違って、
 素敵な男でした」

「宮中の世子は嫌いなのですか?」

「ええ、宮中では派手な服装で…、
 まるで…」

「ペクドという腕が良い工芸家がいる…」

そう言って、ワンビは銀細工のカンザシを見せます
(# サンから取り上げていた三つのアイテムの一つでした)

「これは世子が命じて作らせたカンザシです」

「はい」

「どういう理由であなたが所持していたのですか?」

「お返しするつもりでした」

「返す?」

「ええ、別のお方と結婚なさるからです。
 私が持っていてはなりません」

「…。
 世子はこれをあげる時に何と言ったの?」

「きっと遊び半分だと思いますが…、いつもそうですが…。
“お前は変な奴のようだ。
 お前には似合わないな”と仰せでした」

「そうなの…」
2011d_20170923010020a84.jpg

「世子とはどんなつき合いをしたの?」

「…」

「あなたの心の中の世子とは誰?
 どういう人なの?」

「世子と知る前は…」

「ええ、その前は?」

「一生の友達だと思っていました」

「…」

「そして、世子とお友達のリン若旦那の友情には嫉妬もしました。
 私も仲間に入りたいと思ったからです」

胸の痛みが出たワンビの背をさすり、肩をもみながら、
「深呼吸して下さい。
 息を深く吸って…、そして吐いて…。
 あまり心配をしてはなりません。
 身体によくありません」

「これを…」
(銀のカンザシ)
2011e_20170923010018b09.jpg
# とても感動的な二人の触れ合いでした。

そしてリン

元成(ウォンソン)殿(中宮殿)に迎えに来ていたリンに、
「リンや!」

「?!」

「…」

「彼女を連れて行きなさい」
2011f_20170923010017597.jpg

「傷は?」

「ありません。 殴られなかったから…」

「行きましょう」
 
「不思議だわ…。
 私が捕まった時には、必ずあなたが登場するわ」
2033_20170922105307c66.jpg

「…、これからはいわば逃亡。
 ですから着換えて下さい」

「…」

「家には帰らないで下さい。
 トタ山も危険だと思います」
2011g_201709220201382a9.jpg

「私のアボジは?」

「チョハが探しています。
 まずはアガシのことを逃がすようにと命令を受けています。
 どこか隠れる場所をご存知ですか?」

「ポクチョンジャンは?」

「そこもダメです」

「じゃあ、髪を剃って尼になるわ。
 あるいは着飾って妓楼の妓生になるわ」

「…」

「しかし、この服は大きいわ」

「急いでいたので、私の服です。
 殴られずに済んだから良かった…、
 ケガも無くて…」

「…」

その頃、フラタイたちがトタ山からイ・スンヒュ(師匠)を連れて帰って来ます。

(リンの服と開京の城門)
2033a_20170922105305df0.jpg

フラタイたちは朝早くから出かけて、トタ山のイ・スンヒュを護衛して来たのでした。
(ワンビ媽媽の指示)

しかし、師匠は城門につくやいなや、抜け出していました。

2033aa.jpg
# 居酒屋や妓楼での政治・経済の情報収集のためでもあります。

逃亡

「この短刀はアボジに返すの?」

「しばらく、お嬢様に貸し出します」
2033b_20170922105303535.jpg

「戦いますか? それとも逃げますか?」
(チャン・ウィ)

「逃げよう」
(リン)

しかし、内官が裏切って王が待つところに誘導しました。

2033c_201709221053024a7.jpg

罪人ウン・サン! 
 チュサンチョナの前だ。
 膝まづけ!」
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飛び込んできたウォン

「アバ媽媽!」

「世子は東宮殿で控えていろと命じたはずだ!」

「アバ媽媽!」

「王命に叛くつもりか?!」

「話を聞いて下さい」

「この女のためにか?!」

「私が詳しく説明します」
2033e_20170922105333d50.jpg

「世子には注意して、疑うようにと皆の者が言っていたが、
 これまでは無視して来た。
 矢を私が受けた時もそうだったが、
 いったいお前は何を企んでいるのか?!」

「大監の資産をお考え下さい」
(バンヨン)

「何を言うのか?!
 この高麗の土地にあるものは、全てがこの王のものだ!」

「…」

「この女を逮捕して、貢女の名簿に載せよ!
2033f_20170922105332eff.jpg

立ち上がったウォン

「手を触れるな!」
2033g_201709221053319c3.jpg

「お、お前は! お…!」
(王)

「…」(無視するウォン)

「死にたいのか?!」

「…」(無視)
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王を無視して、ウォンは毅然として声を荒げます

彼女の手を放せ!

「お…、お前は…?!
 私の命令だ!」

「…」(無視)

「!」
(王)

「聞こえないのか?!
 彼女の手を放せ!

「お前は私の手で殺されたいのか?!」

「…」(無視)
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ウィキペディアには二つの例が挙げられていました。
皇女となった例です。

元の王后(妃)となった女性
奇皇后(生没年不詳):14世紀の元朝最後の皇帝である順帝トゴン・テムルの皇后、後の粛良台 完者忽郡。
# ドラマ『信義』では、高麗の貴族キ・チョルの妹として挙げられていました

明の王后(妃)となった女性
権賢妃(? - 1410年):明の成祖・永楽帝(朱棣)の寵姫。
# ドラマ『六龍が飛ぶ』では、第3代王・太宗(テジョン:イ・バンウォン)と明の皇太子時代の朱棣(チュチェ)との交流が描かれました。

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王は愛する 第20話(上) 黄金の卵

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(コスモス@日曜日の横浜の花屋さん)

王は愛する 第20話(上) 金の卵を産む雌鶏

強迫を急ぐソン・イン

「サンお嬢さんはワンビ媽媽のところです。
 宮中入りすることを期待しすぎていたようですね」

「そうですか…?」

「お嬢さんからは、雌鶏の話に例えて、
 “卵を産むまで待つように”と言われました。
 それは大監の考えだったのですか?」

「あまり意味のない話だと付け加えておきましたが…」

「分かりました。
 先々の卵では私には満足できませんからね」

「そこが娘の欠点で、
 誰のことも人間だと思っていることです」

「ははは~、私は大監の資産の全てを貰おうと思っています」

「…」

「そうであれば、チュサンに話を付けて、
 大監の地位を再度確かにして、
 これまでと同じように資産の管理はお任せします」

「娘は?」

「すみませんが、人の目もありますから、
 チュサンにとっては貢女の例外を作らない方が良いと思います」

「娘を救うこともできずに、
 私は全財産をお渡ししないといけないのですか?」

「では、全てを失った上に、流刑になるつもりですか?
 大監の健康状態は良くないようですが、
 それでも新しい屋敷を作ろうとでも言うのですか?」

「…、は~ははは」

「…?」
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ピヨンとムスク
(ピヨンはムスクを引き留める、時間稼ぎの役を負っていたようです)

階段でふらつくピヨン

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「あなたは屋敷に来たナウリのお付きですよね?」

「…」

「うちのお嬢さんが昨夜は帰宅していません。
 宮中に行ったきりです。
 うちのご主人は何も言わないので、とても心配です。
 何かご存知ではないですか?」
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「ソクチョ(#)に小さな屋敷を持っています。
 これが土地台帳です。
 小さくとも素晴らしい眺望です」

「…?」

「これが私の財産の全てです。
 他の財産はすでに他に手渡してしまっています」

「冗談でしょう?」

「私の財産は既に娘に譲っているということです
 つまり、あなたが救おうとする相手は私ではなくて、娘です」

そこに、屋敷の正門からの騒音。
ソン・インの指示で官軍が乗り込んで来ます。

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「お前たち!屋敷を調べろ! 
 必ずどこかにある! 
 焼いてはいない筈だ」
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入れ違いに執事のコ・ヒョンが箱を背負って屋敷を出ています

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「王命だ! 
 ウン・ヨンベクの店も全部調べろ!
 執事を捕まえろ」

(逮捕された大監)
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王とソン・バンヨン

「3つのうち2つを得る…、世子がすでに!」

「その中の一つが大法官…」

「私の息子は、その大監の娘と結婚する!」

「大法官は他の大臣からも尊敬されています」

「その大臣たちが、
 私が贔屓の者だけを使っていると、陰口を叩いている」

「もしも世子がそいつらを味方に引き入れると、
 全ての力を得ることになる!」

「もう一人…」

「ああ、ウン・ヨンベクだ!
 国の2割の耕地を持っている!」

「いや、そこまでは…?」

「世子が娘を呼んだ時に、救おうとしたに気付くべきだった。
 女じゃなくて、大監の資産が目的だったんだ!」
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「確かに、大監は財産を全部娘に譲っています。
 つまり、あの女は歩く黄金。
 金の卵を産む雌鶏です」

「それでどこにいるのか?」

「匿われているようです」

「どこに?!」

「世子の東宮殿だとか…、ワンビ媽媽の中宮殿だとか…、
 そんな噂です」

「世子を東宮殿に軟禁しろ!
 私の命令があるまで誰も出入りさせるな!
 東宮殿を調べろ!
 そこに女がいなければ中宮殿には私が行く」
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東宮殿

「チョナの近衛兵たちが囲んでいます!」

「チャン・ウィ!」

「正面が近衛兵で、後門が官軍です。
 世子も危険です」

「ウン大監が逮捕されました。
 家宅捜査が始まっています!」

ウォンは、身動きはしないと言います。
「チャン・ウィ、リンの所に行け。
 ソファはオマ媽媽のところだから、
 中宮殿にはリンは入ることができる。
 ソファを連れて逃げるように伝えろ」

「ワンビ媽媽は許すでしょうか?」

「もちろんだ!」
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「チン・グァンは金華亭を守れ!」

キム・チャンス内官には、

「チャンスや、お前は仮装して助けてくれ」

バンヨンが「東宮殿で謹慎しろとのチョナの御命です」とやって来ます。

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「この女性は私の客だ。見送るところだったが…」
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中宮殿に向かうリン

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中宮殿では…

イスもベッドもない部屋にサンは拉致されたままです。
ワンビがやって来ます

「さぞ居心地が悪かったでしょうが…」

「いいえ、これまで住んでいた場所に比べれば御殿のようです」

「…」

「あ~、ここは宮殿でしたね…」

「ゆっくりと話があるわ」

「…」
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サンは上着を座布団代わりに差し出します。

「世子だとは知らなかったのですか?」

「よく考えれば良かったのですが、
 最初は思いもよらず…、
 とても不遜な態度で友達つき合いをして来ました。
 吊し上げられても良いような態度で接して来ました」

「…、は~。
 実は世子も世子であることを嫌っていた」
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(# このシーンは明日につづく)

金華亭(クンファジョン)

アンサンテ(#)は平然と饅頭を食べています。

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また、コ・ヒョンが最初に向かったのは金華亭でした。
(二人の盗賊が救うことになります)

「ソファというお嬢さんからは、
 困ったら“ワン大監の3男を訪ねるように”と、
 ここのことを聞いた」

「ソファは…、ああ、知っている」

この盗賊二人もサンとリンの本当のバックグラウンドを知ることになりました。

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# アンサンテ
ソウル南の京畿道の安山(アンサン)から来た女将のこと。
華城(ファソン)がある水原(スウォン)にも近い町です。

# ソクチョ
ソウルからは真東に、江原道・束草(ソクチョ)は東海岸の漁港。
とくに、水揚げされたタラ(明太:ミョンテ)は、一夜干しとか寒風に干して、冬の大切なタンパク源。

(ソウルナビより)
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王は愛する 第19話(下) 土地台帳

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(昨日の空)

王は愛する 第19話(下) 土地台帳

ウォンとフラタイ

「ワンビ媽媽が、
 ウン大監の娘に、“世子に会っても良い”と伝えられました」

「いや。きっとオマ媽媽が丁寧にもてなしてくれるだろうから、
 私は心配してはいないと伝えてくれ」

「了解しました」
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「お前には感謝している」

「?!」

「息子なのに、いつも傍にいることができないからだ」

「ただそれは…」

「私は成長が鈍かったようだ。
 これからだが、どこから始めたら良いものかと思っている段階だから、
 お前にも助言を求めるだろう」

「…」
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サンは元成殿(中宮殿)の中

「…」
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武術の練習中のリン

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ウォンは世子の仕事

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早速、ソン・インに報告に行くチェ・セヨン内官

「思っていた以上に早かったな」

「しかし、ワンビ媽媽はまだ大監の処分をどうするのか決めてはいませんから、
 財産はまだ安全だと思います」

「娘次第だな」
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サンは事前にソン・インに取引を求めていました。

「師匠は、“酒とは面白いもので、高貴な人と一緒に飲むと高貴に感じるようになる。
 身分が低い者と一緒なら、自らがそうなる”と…」

「私の酒は受けては貰えないようだが、
 アガシとっては、私は後者かな?」

「人の品定めに来たのではありません。
 取引のためです」

「さすがに大商人の娘のようだな」

「ともあれ、私は元に送られるでしょう」

「それは…」

「しかし、私は大国のことを知ることができることを期待すらしています。
 心配なのは、アボジを一人にして、私を心配させることです」

「罪の告白をする相手を探しているのですか?」

「いいえ、すでに身分は明かされてしまいました。
 あなたのお陰ですよね?」

「実を言えば、自分も共犯だと見做されることが心配だった。
 それで?」

「アボジを守って下さい」

「報酬は?」

「民百姓に良いことをしているようですね」

「我々は…」

「詳細は聞きません。
 私の方から10年間の補助金を差し上げます。
 兵士だろうが食料だろうが、
 そちらの自由に使って下さい」

「なぜ10年ですか?
 まとめて頂けないのですか?」

「アボジを少なくとも10年守って欲しいからです」

「私を信じているのですか?」


「いいえ。
 しかし、これは言っておきます。
 “雌鶏の腹を裂いても、卵は得られない”、
 “卵は翌朝まで、毎日待つものだ”」
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力んでいたサンを思い出して笑いを浮かべるソン・イン

「嫌いです。
 あの娘のことで笑い顔を見るのは嫌いです」

「宮殿に帰った方が良い。
 チュサンチョナを待たせるのは、もう十分だろう」

「もう一晩、ここにいたいです」

「まだチョナとは一晩も寝ていないのか?」

「友達として扱われているだけです。
 それで“十分だと…”」

「十分じゃない」
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「しかし、チョナは…」

「なぜまだ分からないのか?」

「…」

「言ったように、一線を超えるな」

「私もあなたを笑わせてみせます」

「…」

「どうしたら良いのですか?」

「…」

「ワンビ媽媽の薬に何か混ぜましょうか?
 ニシキヘビだって捕まえてみせます」
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開京の城門を早朝に出るフラタイたち

「まだ開門には一刻(2時間)もあるが…」
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王の寝所

「なぜ昨夜は遅かったのか?」

「もう一晩泊まりたかったのですが、
 心配だったので予定を早めて帰って来たのですよ」

「世子だった…。 世子が私を蔑んだ…」

「悪夢は世子だったのですか?」

「私は床を這い回っていた…」
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「もしかして正夢では…?」

オク・ボヨンは、サンが「ウン大監の娘だったとの噂があります」と。
ここで王も、
「貢女逃れ」だったのか?
 ということは、
 世子は知りながらも隠していたということなのか?」

「そうなりますが…」
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ウン大監の屋敷

「こんな朝早くから…?」

「娘の命にかかわる重要なことだ」
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ソン・インが財産を奪うために来ることを想定した作戦を既にサンは準備していました

「チュサンチョナとソン・インが一緒になって、
 ワンビ媽媽の対抗勢力を形成しています。
 そして、両勢力ともアボジの資産を狙っています」

「計画通りに進むと思うか?」

「できる限りのことをします。
 なんとしても、どちら側にもうちの家の資産は手渡してはなりません。
 それがアボジが生きる唯一の道ですからね」

「ご心配なく。 命を懸けて守ります」
(執事のコ・ヒョン)

「お前は本当に賢いな。
 それに美しい娘になったものだ…」
(大監)

「私もそれが言いたかったのです。
 世子チョハもお目が高いと思います。
 アガシのことは決して見捨てたりはしない筈です。
 アガシが世子嬪となれば、全てが安全に収まります」
(コ・ヒョン)

「不可能か、サンや?」
(大監)

「申し訳ありません。
 どうか元気で、安全でいて下さい。
 アボジにもしものことがあれば、私の方が生きてはいられません」

そして、コ・ヒョンは走ります

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サンたちの作戦にはピヨンも一枚かんでいました。
ムスクを引き留めるピヨン

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三つのアイテム

王には“恋愛結婚”はありえない。
「恋愛は許されない(第19代王・粛宗『チャン・オクチョン』)」でした。
ワンビ媽媽(元成公主)は「王になる者には友達はない。忠臣か逆臣かのどちらかがいるだけです」とウォンに言っていました。

しかし、①銀細工のカンザシは公主御用達の名匠の作品で、これがウォンからサンに贈られていた。
ワンビ媽媽が3人の心の触れ合いの深さを感じる時でした。
また、ウォンはサンから銀のモッコリ(ネックレス)を貰っています。

②絹布に書かれているのはウン大監の屋敷や農地の財産目録(土地台帳)
これには一部をピヨンに譲ることになっていますが、全ての名義が既にウン・サンとなりました。

③サンが当初から持っていた短刀(父親からの贈り物)は、ソン・インに奪われています。
他方、ウン大監はサンを救ったリンへの贈答に“小刀”を贈りました。

これらのアイテムがこれからもしばしば登場します。

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王は愛する 第19話(上) オモニ

王は愛する 第19話(上) 協力して下さい、オモニ…

世子嬪にはタンが選ばれました。

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リンは、サンが身元を明かしたとすれば、ウォンがサンを世子嬪に選ぶと思っていました。

「オラボニ、待っていたのね

「待っていると言ったじゃないか。
 タンは大丈夫か…?」

「ええ」
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「タニアガシ…」

「ホニアガシ…」

「おめでとうございます」

「まだ夢のようで、正気ではないみたいだわ」

「3番目のお兄様ですね?
 これで、お兄様も王族としての官位が貰えますよね」

「?! タン…、お前が嬪…?

「ええ、チョハが私の名前を呼んでくれたわ」

「名前だけではなくて、手を取って頂いたじゃないの。
 世子とは知り合いだったそうね」

「…」
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東宮殿に飛び込むリン

「いったいなぜですか?!」

「?」

「なぜ妹の手を取ったのですか?!
 まったく気がないと言っていたではないですか?!」

「お前は気でも狂ったのか?」

「チョハの方こそ、気が変だと思います!
 全てを聞いたはずなのに、なぜですか?!」

「俺が聞いた?
 俺が何を聞いたと言うのか?」

「サニアガシが来て、全てを話したはずだ」

「サニアガシ…?」

「なぜタンを選んだのですか?」

「では、ソファが誰かということを知っていたのか?」

「ウン大監の娘だと知っていました、はい」

「では、ソファも俺のことを知っていたのか?」

「ええ、解っていました」

「あ~、では俺だけが何も知らずにいたのか…」

「…」

「お前たち二人は一緒に座って、俺のことを騙していたのか?!

「もちろんです。
 どうやって打ち明けろと言うのですか?!」

「…」
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「みな、下がってくれ」

「お前が命令するのか?」

「では聞こえるように話をします。
 なぜ身元を打ち明けなかったかということを!」

「…、みな、下がれ!」

「…」

「いつからか?!
 いつから二人は私を騙していたのか?!」

「それは重要なことではないじゃないですか」
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「あ~、世子を騙すことは重要ではないと言うのだな?」

「サンお嬢様が貢女になるということです

「何を言い出すのか?」

「賢いならば、状況が解るでしょう?」

「…」

「推測だってできるでしょう?」

「お前はいつから皮肉屋になったのか?」

「ずっと、とある人と一緒だから学びました」

「…。 まず座ろう」

「…」

「では、最初から少しずつゆっくり説明してくれ」

ようやく興奮が収まった二人でした。

「ワンビ媽媽が、ウン大監の娘に気付いた…」

「貢女にされることを避けるために入れ替えたということだな?」

「ええ、7年前に我々が見た少女のことです」

「では顔に傷を負った娘は…」

「ええ、彼女はサンの下女でした」

「なぜ、そのことを俺に言わなかったのか?
 俺も彼女の身分を隠したと見做されるからなのか?」

「そうです」

「馬鹿なやつめ!」

「ワンビ媽媽が自ら大監の家に行ったのです。
 推測だが、きっと脅しに行ったのでしょう。
 “世子嬪になるか、罰を受けるか?”という脅しです」

「二者択一で大監の財産も没収されるかどうかだな」

「だから、サンお嬢さんには“世子に全てを話し、世子嬪になるように”と、
 お茶会の前日の朝に“金花亭”まで送って行ったのです」

「お前が?」

「だから…、いったいなぜ二人は…、
 昨日の朝は何の話をしたのですか?!」

「彼女は俺にお願いをした。
 “サンお嬢様を選ばないで下さい”と」

「なぜですか?」

「彼女の心の中には別の人がいるからだと言った」

「!」

「は~。
 ソファを探し出さないといけない。
 あ~、サンだ…」
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そのサンへの対応が荒々しく変わっています。
持ち物を取り上げられます。

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誰にも会いたくないというワンビ

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サンの持ち物

「高貴な家の娘にしては変なものを持っているな。
 銀の飾りだけでなく、短刀まで…」

「武術も身に付けているようです」

「どこに隠れていたのか?」

「トタ山には小さな寺があって、イ・スンヒュが営んでいます」

「小さいとのことだが、かなりの広さだとも聞く」

「はい。100人を超える生徒がいて、文武の教育を施しています。
 全国に散らばっているこれまでの生徒を合わせれば無数でしょう」

「イ・スンヒュの生徒だったのか…」

「ソファという名で、イ・スンヒュの愛弟子として育っていました」

「…」

「あの娘の父親は生かしておきますか?
 まずは投獄すべきです」

「投獄して財産を巻き上げたとすれば、富はどうなるか?」

「どういうことですか?」

「財産は国に没収されるだけだ。
 そして半分は官僚たちのものになる。
 つまりは王と周囲の物になって、終わるだけだ」

「…」

「私がそれを許すとでも思っているの?」

そこでワンビは銀のカンザシに気付きます
(# 公主の御用達の工芸作家の作品です)

「チュサンチョナが動く前に我々が先に…」というところで、ワンビは胸の痛みを…。

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# 三つのアイテム。
その中の銀細工のカンザシを見てワンビは、ウォンとサンの心の触れ合いを知ることになりました。
真ん中の絹布は財産目録です。

「飲まず食わずのままです」と、内官のキム・チャンスが心配しています。

「リンや。トタ山に行った時のことを覚えているか?
 それに、俺が師匠に質問したこと?」

「知りません」

「聞いてはいなかったのか…?」

「ええ」

「死んだ方が良いのかと質問した。
 “私のような者がこの世に存在することは、
 良くないことでしょうか?”と聞いた」

「なぜそんな無意味な質問をしたのですか?」

「その時は答えが欲しかったからだ」

「答え次第では死ぬつもりだったのですか?」

「師匠はひとつ答えをくれたが、
 その時は俺には無意味だった」

「…」

「“酒飲みは馬鹿なことばかり話すから、
 今日は無駄な訪問だったな”との答えだった」
1900h_20170921101316bc7.jpg

「牧童犬と共に羊の群れを飼育しています。
 ある日、オオカミが山から下って来て、
 子羊だけでなく、牧童犬まで噛み殺しました」

「それは狼犬と言うのだ」

「その狼犬は成長して牧童犬になるでしょうか?」

「それは狼犬次第だな」

「問題があります」

「羊たちが狼犬を怖がっていることです」

「だろうな」
 
「どうしましょうか?
 狼犬を追い払いますか?
 それとも将来のために殺しましょうか?」

「将来の不安があると言われて、狼犬は死ぬだろうか?」

「間違いですか?」

「間違っていて、怖い」

「怖くはありません」

「なぜだ?」

「その方が良いと感じませんか?」

「死ぬことは良いことなのか?」

「たぶんそれが…」

「では質問が無意味なことだ。
 そして、私の答えも全て無意味だ」

「…」

「つまり、羊の群れから去ろうとすること、
 別れることは、
 単に羊の群れを育てることが嫌だということではないか?
 誰にとっても無意味なことだ。
 時間の無駄だ」

「…」

「失うことが嫌だ、とか、
 失いたくないと思うことが見つかれば、また私を訪ねて来い。
 先々も疑問を持ち続けるならば…」
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「失いたくないものがありますか?」

「ある」

「では…」

「しかし、もう一度質問するつもりはない。
 師匠は良い人で答えをくれるだろうが、良い答えは不要だ。
 大切なことに従うつもりだ」

「何を考えているのですか?」

「俺には力が必要だ」

「権力のための権力は嫌いだと言っていたではないですか?
 “元には力がある。だから圧政者”だと…」

「俺は権力者の父親も権力者の母親も嫌いだ。
 問題は俺に力がないことだ
 圧政を受けている人々を守ることができず、何もできない。
 両親は俺のことを守るが、それがますます良くないことになる。
 俺はただ反論することしかできない」

「…」

「力が必要だ」

「どうやって力を…?」

「必要ならば、“蛇”のような行動もする」
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「チョハ…」

「約束してくれ」

「…」

「俺の傍にいてくれ。 お前は私の旗柱だ。
 どんな旗を掲げることになるか?
 それはこれからだが、旗柱が必要だからだ」
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ワンビは人払いして

「力が欲しいということですね?」

「協力して下さい。
 今、私にあるのは母親と祖父の力だけです。
 しかし、
 皇帝の所までは歩いて2か月、馬でも20日はかかります」

「何のためですか?」

「人や物のすべてのためです」

「…」
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「あの娘のためか?
 ウン大監の娘のことですか?」

「彼女は、最初に欲しいものの一つです」

「ではなぜ別の女性を選んだのですか?」

「私はあの娘の兄のリンを失いたくないからです」

「あなたは王になるから、女を二人持つこともできるわね?」

「もしも、簡単に彼女を手に入れることができたならば、
 そうしたでしょう」

「これまで、権力や政治は全く無関心だったのに、
 どうして急に?」

「3歳の時に世子となって、
 その時から大きな声では言っていません。
 自分の心の中だけで発していた言葉です」

「…」

「オモニ…」

「…」

「オモニ、協力して下さい」

「…」
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元成公主(王妃)にとっては、10数年以上も聞いたことがなかった「トワジュセヨ “オモニ…”」だったのでしょう。
次の言葉を詰まらせてしまいました。

一人の国民、ひとつの家族すら政府は守れないのだろうか?
こんな疑問から政界に身を投じた『大物~レディプレジデント』のヒロインでした。

この第19話からウォンは大きく変わりますね。
一人の女、一つの家族をも守れない者が、「国」を守れるのだろうか?
こんな庶民へのセリフが史劇(王)の評価基準・メルクマールとなって来ていると感じています。
また、孔子の儒教における“仁(慈しみのハート)”が、孟子が言う実行力(“礼”)に転じていく『六龍が飛ぶ』を思い出しました。
<朝鮮王朝>第3代王・太宗(イ・バンウォン)の力強さのことです。

まずは、オンマの王妃からのパワーを貰わないといけない…。
ちなみに『大物~レディプレジデント』では、今回のワンビ媽媽を演じるチョン・ヨンナムが大統領補佐官としてヒロインに仕えました。
まさに、ワン・リンだったと思います。

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<古代の韓半島>(4) 高句麗へとさらにスリップ

<古代の韓半島(ハンバンド)>
(4)
高麗から、さらに高句麗へとタイムスリップ

オスマントルコがエジプトを「属国」にしたこととも、大英帝国がアフリカやアジアの諸国を「植民地」にしたこととも違い、「冊封(さつほう)」制度は中国大陸の独自の外交戦略。
韓半島の“独立と主権”を認め、同盟国としての主従関係を求めるものでした。

黄菊
(@東京駅 2017.09.16)

1.『信義』の時代と『六龍が飛ぶ』の時代

高麗の末期には大陸でも変化が始まっており、高麗の衰退と同時期に「元」も「新興の」の力に押されていました。
そこで、『信義』の第31代・恭愍(コンミン)王は“元から→明へと”外交政策を変えようとしていました
また、移行期の大陸から北方の失地を奪回したのが若き崔瑩(チェ・ヨン)将軍でした。

ところが、後に親「元」派の保守勢力により恭愍王は暗殺されます。
それでも崔瑩将軍は、さらに高麗の立場を強くするために「明」に圧力をかけるべく、鴨緑江(アムノッカン)を渡って遼東半島を得ようとしたのだと思います。
これが『六龍が飛ぶ』のはじめの部分でした。
冊封国からの脱却のチャンスでもあったのでしょう。

ドラマ『信義(シンイ)』から『六龍が飛ぶ』と、チェ・ヨン将軍は年を重ねて、次のようにルックスが大きく変わっていますが、高麗王と高麗への忠誠心・信義、愛国心に関しては揺るぎないものだったと思います。

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2.理想から現実主義へ

ただし、後輩の李成桂(イ・ソンゲ)将軍は、既に「明」の勢いには逆らえないという情報を持って、現実的な道を選んだのだと思います。

5月に出港して8月に九州に上陸作戦を展開した第2次の元寇は台風で壊滅しましたが、李成桂にはその戦術データもインプットされていたのかもしれません。
また、大陸の歴史の流れを察知していた李成桂(イ・ソンゲ)が掲げた「四不可論(サプルガロン)」の“大国に逆らってはいけない”のとおりで、すでに明の勢いは止まらないところに来ていたと思います。
他方では、高麗王族+貴族の外交能力の欠如も否めません。

「四不可論(サプルガロン)」

「我々5万の兵は家族の元に帰る!
 この李成桂は鴨緑江は渡らない!」
sone lee
5月の長雨の季節は鴨緑江(アムノッカン)が激流になる時期でした。
李成桂は「四不可論(サプルガロン)」を提示して、王と崔瑩(チェ・ヨン)将軍(首相)の遼東(リャオトン)への出兵計画には、既に反論していました。

①小国が大国に逆らってはいけないこと
②農繁期に若者を徴兵してはいけないこと
③南方からの倭寇への防衛が手薄になること
④長雨の時期は弓の膠(にかわ)が溶けて使えず、しかも暑さと湿気で伝染病の恐れがあること

結果は『六龍が飛ぶ』のとおりです。
鴨緑江(アムノッカン)から回軍した4年後に、高麗が滅び<朝鮮王朝>の建国となります。

3.高麗から高句麗に遡ります

この<古代の韓半島>シリーズのタイトルのこと。
『王は愛する』の第25代・忠烈(チュンニョル)王の時代(13世紀末)からが、「冊封国」としての新しい高麗の歴史の始まりだと思いましたので、13世紀以前を<古代の韓半島>と区分けしました。
第26代・忠宣(チュンソン)王(ワン・ウォン)の14世紀から19世紀末の朝鮮王朝まで、600年ほども冊封制度の時代が続いたということにもなります。

次回からは紀元前にまで遡って、半島の歴史を“ドラマを通じて概観”しておこうと思います。
ほとんどのドラマがわずかなファクトだけをベースにしたファクションです。
まずは、『朱蒙(チュモン)』のベースとなった「高朱蒙(コジュモン)伝説」を先に紹介しておきます。

韓国の『統一日報』2012年5月16日(日本語版)に掲載された「韓国史を彩る王たちの物語(10)」からの引用です。
著者は金両基(キム・ヤンギ:比較文化学者)です。

朱蒙が生まれたのは
東扶余の金蛙(クムワ)王の時代である。
ある日金蛙王が優渤水の水面下の岩の上に
奇怪な動物が魚をとっているという報告を
漁師から聞き、鉄製の網でその動物を捕えた。
なんと唇が三尺あまりあり、三回も切り落とすと
美しい娘の姿になった。
娘は名前を柳花(ユファ)といい
水神・河伯の長女であるという。
河伯は天帝と称する解慕漱(へモス)に侵された娘を許せず、
美しい娘を取り上げて追放した。

父の河伯に追放されたという
不思議な話を聞いた金蛙王は柳花を連れて帰って
部屋に閉じ込めておいた。
やがて身ごもり5升ほどの大きな卵を生む。
不吉に思って犬や豚に与えたが食べず、牛や馬も
そして鳥獣も避けるので柳花に戻した。
暖かく包んでおくと
一人の男の子が殻を破って出てきた
(『三国史記』始祖東明聖王条)。

卵から孵ったその男の子が朱蒙(チュモン)であり、
神童であるが故に金蛙王の王子から命を狙われ、
東扶余から逃れて高句麗建国への旅路にでる。
(以上)

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高句麗に飛ぶ前に、個人的な感想で若干の推測含みです。
ワン・ウォンは幼少の頃は祖父のフビライ・ハンの孫として、“元の国”で可愛がられて育った。
しかし、世子として母親とは切り離されていたので、母との心の触れ合いが欠けていたとも考えられます。
明日アップする第19話(上)「協力して下さい、オモニ…」はぐっとくる言葉でした。

また、ドラマの最初からあったように、元と高麗の“混血児”であることをどれくらい意識したのかは不明ですが、
元にとっては、手放したくないような有能なバイリンガルの王子であったことは間違いないと思います。

以下は第26代・忠宣(チュンソン)王(ワン・ウォン)の史実です。

・1292年 趙妃が世子嬪に選ばれる(ウォン17歳)
・1295年 第25代・忠烈王の代行となる(同20歳)
・1296年 元より王妃を迎える(同21歳)
・1299年 呪詛事件(世子嬪への嫉妬が原因)
同年に第25代忠烈王が復位(この時ウォンは24歳)
・1299~1308年 元に行き瀋陽(国)王を務める。

・1308年 忠烈王が亡くなり、ワン・ウォン帰国し即位(同33歳) 
・1313年 高麗王を譲り、元の瀋陽(国)王に戻る。
・1325年 元で死去。

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王は愛する 第18話(下) 前の日のこと

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(トネリコの木@Tokyo St. 2017.09.20)

王は愛する 第18話(下) 世子嬪選びの前の日とその日

<前日の朝>

「着換えて出てきてください。 待っていましたよ」

「!」

サンはそのまま屋根に飛び上がります

「高いわね、本当に…」

「…」

「寒くはないわ」

「羽織る物がないから…」

「来てくれて良かった。
 聞きたいことがあったわ」

「俺はどこかに連れて行こうと思っていた。
 話ではなくて…」

「どこに?」
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「世子チョハはクンファジョン(金花亭)」

「それで?」

「行って話をして欲しい」

「何を?」

「自分の身分のことだ」

「なぜ?」

「ワンビ媽媽のお茶会に参加するからだ」

「開京の誰もが知っているようだわね」

「ワンビ媽媽に仕える女官を何人か知っているからだ」

「たくさんの女官が知っているようだわね」

「?」

「私が誰なのかを世子チョハに明かすことを…」

「…。
 だから、チョハは間違った選択をしなくて済む」

「間違った選択とは、タンお嬢様のこと…?」

「知っていたのか?」

「私に近づきたいと思っている人がいるからだわ。
 すべてを話してくれたわ」

「誰なのか?」

「ソン・インは反逆者だわよね?」

「会ったのか? なぜだ?」

「なぜって、それは私の自由だわ。引き連れられて行ったのよ」
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(ソン・インとサン)

「アガシとワン・ジョンを結婚させようとしたのは富のためだけじゃなかった」

「では何? 私の美しさなの?」

「ふふふふ…。
 ワン大監の娘のタンお嬢さんが、
 ワンビ媽媽の貢女の名簿に載ったからだ」

「…」

「婚姻の途中の両家の娘たちは貢女から逃れられて、
 開京に残れるからだ」
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「私の婚約が破棄になったから、
 タンお嬢様が元に行くことになるの?」

「誰も行かない」

「あなたが代わりに行くからなの?」

「…。
 さあ、もうそろそろ世子が起きる時間だ」

「タンお嬢様は世子チョハを愛しているわ」

立ち上がろうとしてサンはがふらつきます。

「!」

「!」
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「!」
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「もしかして、あの時の黒い服の…?」

「…」
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…今初めて解った。
あの日の手の感触…
私を救ってくれたことを。
あの人に質問すると、
ただ世子が遣わせたとしか答えないだろう。
今初めて解った。
これまでの全てのことが…。
私の心がときめき、傷む理由が初めて解った。
彼らは美しい友情で結ばれている。
彼らはとても偉大な人たちだ。
そして、
私が二人の友情を壊すことになる
これが怖い。

「すぐに宮中に出かけられますから、
 中に入って下さい」

「…」

「あなたが誰なのか知ることで、とても喜ぶと思います」
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…私には一つやることがある。
彼ら二人のこれまでの関係が続くために…。
私は寂しくなるが、
これが私の二人への友情だ…。

サンはウォンに告げます

「扉を叩く必要はない。 黙って入って来ても良い」

「…」

「やあ! なぜお前がこんな早くから…?!」

「…」

「何かあったのか?」

「世子チョハを知っているよね」

「ああ、仲良しだ」

「頼まれて欲しいわ」

「何を?」

「うちの家のアガシがワンビ媽媽のお茶会に招待されたわ。
 媽媽がご自分で選んだわ」

「ご自分で選んだのか?」

「“たとえ世子チョハがうちのアガシを気に入っても、
 決して選んではいけない”
と伝えて欲しいわ」

「…」

「それに、
 “まるで目には留まらないように振る舞って欲しい”と」

「…」

「世子チョハに伝えてくれるかしら?」

「つまり、お前の家のお嬢さんは世子とは結婚したくはないということだな?」

「その通りだわ」

「それはまるで反逆の境目だな。
 高麗の民百姓が世子チョハを侮辱するようなもんだな」

「他に好きな人がいるからだわ」

「あ~、つまり、逆にその彼がアガシのことが好きでも、
 今は手を触れることができないという状況だな?」

「んん」

「まるで、目の前にはいないかのように振る舞うということだな?」

「んん」
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<そして世子嬪選びの今日のこと>

ワンビ媽媽はタンに言いました

「私は今日あなたに会えるとは思わなかった。
 世子チョハがあなたを招待するに当たって、
 何と言ったの?」

「世子チョハは、世子チョハは…」

向き合ったウォンとサン

「…」

「…」
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ウォンはタンではなく、サンに向かって言います

「私はこのように言いました。
 “ワンビ媽媽がお茶会を開く。名家からのお嬢様たちが招待される。
 単なるお茶会ではないことを、出席者は知っている。
 この国の世子嬪を選ぶためだ”。
 解っていましたか?」

「はい」
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「まだ私にお願いがありますか?」

「はい」

「全て解っていますか? 
 私のことも…?」
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「…」

「…」
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そしてウォン

「私たちがここに集まった訳はみんなが理解していると思う。
 ここに長くとどめておくことは…、
 私が選択をもてあそんでいるようなことをすれば、失礼になる。
 したがって、もう決めていることを伝えたい。
 タンや…」

「…」

「私の傍に来なさい」

「!」
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「ワン大監の娘、ワン・ダンです」

「世子チョハ! おめでとうございます!」

「世子チョハ! おめでとうございます!」

「…」
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高麗時代は世子嬪(セジャビン)と呼ぶのが普通だったのでしょうか?
<朝鮮王朝>では、嬪宮(ピングン)との呼び名が一般的です。
ただし、いずれも嬪(ピン)は最高位の品階なので、王妃に次ぐ品階。
以下は<朝鮮王朝>時代の側室の品階で、正・従あわせて8階です。
ちなみに、王室に仕える尚宮(サングン)は正五品です。

正一品…嬪(ピン:빈)
従一品…貴人(クィイン:귀인)
正二品…昭儀(ソウィ:소의)
従二品…淑儀(スグィ:숙의)
正三品…昭容(ソヨン:소용)
従三品…淑容(スギョン:숙용)
正四品…昭媛(ソウォン:소원)
従四品…淑媛(スグォン:숙원)

(ご参考まで)
http://jumong007.blog133.fc2.com/blog-entry-2449.html

# 今夕の<古代の韓半島(ハンバンド)>で高麗を終えて、来週からは高句麗に遡ります。

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