怪しいパートナー 第5話(下) 弁護士の魂

(ミカンの花 from 水戸:2017.06.04)
怪しいパートナー 第5話(下) 弁護士の魂~私はあなたを探します
犯人がナイフを捨てた場所

現れた黒い影(逆光のため)に身構えるボンヒ
「!」

ジウクでした
「驚いた!
わ~、なぜ名乗ってくれないのですか?!」
「誰だか尋ねられてもいない!」
「そうじゃないでしょうに!
こんな人通りのない場所に忍び込むようにやって来て…」
「じゃあ、散歩の途中で、
声も掛けられていないのに自己紹介しろと言うのか?」

「ここは犯人の足跡の最後の場所です!
私は検事のことを、犯人が戻って来たと錯覚しました!」
「いったい誰がこんな時間に、
こんな所に、たった一人で来たのか?!」
「犯人が歩いた跡を追っているんです」

立ち上がるボンヒがふらつくので手を差し出すジウク

「!」
「…」

「…。
あ!私のことを心配しているのですか?」
「いいや、まさか…」
「そうでしょうね…、そんな筈は…」
追いかけるボンヒ

「検事さんはなぜ来たのですか?」
「名うての検事としては、最後の件が未解決だから…、
何と言えば良いのか…?
プライドを傷つけられた感じで、どうも気持ちがわだかまっている」
「ですか…。
私が検事のためにメロディを発見してみせます」

「それはもういい。
君に裁判所の監視カメラの録画をあげるから、
犯人らしき者を捜してくれ」
「でも、顔は見ていませんよ」
「見たと言ったじゃないか?!」
「いいえ、あやふやですよ。
メロディだけが頭に残っているんです。
犯人は自転車ですり抜けて、法廷でもメロディが…」

「“メロディ”の話はもう止してくれ!
口に出すな!」
「なぜ怒るのですか?」
「ああ、じゃあ犯人の自転車はどんなだったか?
どんなタイプだったか?」
「普通の自転車で、車輪が二つでした…」
「ア~ッシ、…、は~」
「?」

「は~ははは。
わ~、私は君が何か手がかりをつかんでいると思っていた!」
「そうですか…」
「私は眠れず、仕事も手につかず、
君をわざわざ探していたんだ!
あ~、ウン・ボンヒ…、君は…」

「だって、私がやるから…。
検事は巻き込みたくないと言ったじゃないですか!」
「君がどうやって一人でやれると言うのか?!
何ができると言うのか?!ここに来て!?」
「そんな態度だと、
検事は私のことを本当に心配してくれていると誤解しますよ!」
「…。 そうだ…、本当だな」
「では私のことをもう怒りませんよね?!
良かった!」
「…」
「“悪運”だとか“消えてくれ”って言われていますからね!
もう会えないかと思っていました」

「それも本当だ」
「え?!」
「君の上司として、
君の保護者としてこの2か月も一緒だったから、
心配していたのは事実だ。
しかし、もうここまでだ」
「…」
「だから、トラブルには巻き込まれないように、
安全なところで暮らしてくれ」
立ち去るジウクに、
「私が手掛かりを発見します!
犯人を捕まえます!」
「…」
「検事のことも見つけます!
それで良いですねよ?!」
「…」
「私がやり抜いて借りを返します!
それに、私は検事からも尊敬される人間になります!」
「…」
「また会って、
“悪運”の関係は逆転させます…、必ず…」

<季節は巡り2年が過ぎます>
法務研修所
…私は一生懸命に勉強した。

ジウクは知らないものの、ボンヒはいつもジウクを見ていました
…人生で、自分が強くなったと感じた時…
人生で、私が息苦しくなった時…
私はあなたを見て、ちょっと一休み…


そして、研修が終わった時…。
当然ながらボンヒには公職が貰えませんでした。
残るのは民間の“弁護士の道”だけ…。
就職を祝うクラスメートからも疎外されています。
「みんなも受かったんだから、特別じゃないわ。
あの女だけは別だわね…」

掲示を新しくして、2年前の事件を、弁護士として追及するボンヒです。
…このトンネルで自転車の男を見た人を探しています。

掲示を掛ける職人
「助かりました。
一人では難しかったところです」
「…」
「あなたはまさか目撃者ではありませんか?」
「…」
犯人が見て、手助けしていました。

ジウクはピョン代表の法律事務所で弁護士の仕事。
しかし、どうも検事としての根性が抜けません。
「まずはお詫びしてからです。
犠牲者が受け入れないなら…」

「ノ弁護士。 私たちも犠牲者です。
ユノのことをなぜ犯人扱いするのですか?
口論だっただけです。
我々が弁償しようと持ち出すと、もっと欲しがっています。
彼らは貧乏な家の子供だからですよ。
彼らの親たちは、せいぜい小さな店を出しているくらいですからね」
「上手く解決したとしても、次があります。
もうすぐ18歳の誕生日ですから、
未成年者としてのメリットが失せます」
「どういうことですか?」

「あ~、私はこの分野では、ご想像よりも経験豊かです。
それに、司法試験は既に学生時代にパスしています。
あ~、それにずっと検事をやっていましたからね」
「ちっ!それだけだ」
「これが3度目ですよね。
前回は金で女子学生を脅しています。
あ~、彼女は金鉱山を見つけたようなものだ。
何の反省もなくまた事件を起こすと、
今度は海外に逃げないといけなくなる。
そしてまた海外では麻薬の所持とかで捕まって、
国外退去になって大韓民国に逃げ込む…」
「…」
「貧乏人をいじめて、オモニからお金を出して貰う…、
やあ、この世はカネ次第だ!
なんていう世界に我々は住んでいるのか?!」
「…」
「…」
「あ~、なんてことだ…。
は~、ではもう一度最初からです。
まずはお詫びをして…」

ジウクの仕事振りを見ていたピョン代表
「ノ弁護士!
お前は検事ではないんだぞ!
弁護士になってからもう2年になるのに、
なぜ検事みたいな態度なのか?!
何の権利があって、顧客の罪のことに反応を示すのか?!」
「…」
「あ~その性格は…、
誰が何と言っても人の話は聞いていないようだな。
そうだろう?」
「いいえ、あんな意味ではなかったのですが…」
「クライアントに反省を求めるようなことはするな!
自分のことを反省しろ!」
「…」
「私のモットーは“後悔しないこと”だが、
お前をここに入れたのは大間違いだった!」
「…」

地検の302号室はジウクの執務室でしたが、既に別の検事の執務室
バン検察官をランチに誘うジウクです。

…パッパ(忙しい)

検察庁の社員食堂
「高陽(コヤン)支庁の食堂の方が美味い」
「じゃあ、コヤンで食べれば良いのに、
なぜいつもここで食べるのですか?」

(先のピョン法務事務所の食事会の席のこと)
「『悪魔の弁護士』という映画を見たことがあるか?
あの映画では弁護士が悪魔に魂を売った。
下劣で品格が悪い者が、自分の名誉のためなら、
たとえ相手が悪魔であっても弁護を引き受けるだろうな。
あ~、あの映画は弁護士の属性を明確に示した。
あ~、俺は全ての弁護士を憎んでいる…」
「は~、ははは」
「悪魔だって弁護を受ける権利があるさ。
私も弁護士としてこの席にいるが、
ノ弁護士!
これは毎年1~2回の会社の食事会だ」

「ジウクや…。これはみんなの慰労会でもあるんだ…」
「…」

(社員食道のシーンに戻って)
「検事の時は検事たちを馬鹿にして、
今度は弁護士たちを馬鹿にしていますよ」
「あ~、このランチは臭いが強すぎる…」

「検事!
生きていくためにはカメレオンもトカゲもタコだって、
迷彩色に身を変えます。
生きるためです!」
「うるさい!」
「うっ!」
ウンヒョクが来て、
「どうしたのか…?」

「あ~、本当に不味い!
俺はならず者の弁護は嫌だ!
あ~、本当に嫌だ!」
「私は5~6歳の頃に気付きました。
人生には嫌なこともあるけど、
それでも受け入れないといけないということです」
ウンヒョクに、
「ご心配なく。
今、ノ検事には環境に適応するようにと説教しているところです」
(バン係長)
「そうか…。
でもこのジウクには何を言っても無駄さ。
一向に変わらない頑固な奴だ」
(ウンヒョク)
「ああ、俺は頑固だ。
そして、お前がいつも嫌いだ」
「困った奴だ…」
# と言いつつも、バン係長はジウクのファンでもあり、兄貴分でもあります。
「また失礼をしましたか?」
「誰のことですか?」
「孤独なんだ。
あいつには話し相手がいないから、壁に向かって話をしている」
(ウンヒョク)
「…」

検事となったナ・ジヘ
「会いたくもない人に、
いつもここのホールでは出会うもんだわね」
「いつも…?
何の用事もないくせに、なぜここに来るの?」
「ええ、来るたびに会うってことだわ」
「そのファッションは何なの?
もう少しまともな服にしたらどうなの?」

「いいのよ。
どうせ私の服は安物だわ。
でも、私の心と身体は輝いているから、
安物の服をカバーしているのよ」
「輝きすぎて、その靴のヒールが欠けそうだわね」
「!」

ボンヒが法廷で弁護をしていると、ジウクが傍聴席に入って来ました。
「検察が提示した監視カメラの映像では、
被告の顔を特定はできません。
さらには事件現場からも物証が得られていません」

「!」


1週間のランキング@「にほんブログ村」
“悪魔の弁護士”を引き合いに出して、“悪魔に魂を売った弁護士”。
なるほど、ジウクらしい引用だと思いました。
他方のピョン代表やチ・ウンヒョク(ウニョク)弁護士、バン事務長は、気持ちを切り換えて、カメレオンのように変色してカムフラージュすることが“弁護士ビジネス”の道だと思っているようです。
生活のためには後者も大切な道だとは思います。
ボンヒが見ていたこの2年間のジウクの顔はどうだったのでしょうか?
不運にも事件に巻き込まれて、目指していた検事または判事への道が閉ざされました。
ボンヒのセリフに「私は検事のタイプではないようだ」とありますが、そうかな?
ボンヒだって弁護士は本望ではないように思えます。
ボンヒだけの特殊な体験は、警察・検察の誤認でした。
ジウクは真相だけを信じる検事でした。
ボンヒも真実を追求するタイプなので、
ボンヒだけがジウクを理解する“パートナー”だと思って見ています。

1週間のランキング@にほんブログ村
スポンサーサイト