三つ子の魂 百まで

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# この写真は昨年の秋に国立故宮博物館で撮影した「国朝宝鑑(ククチョボガム)」です。
燕山君が先王の喪に伏していた際に編纂させたもので、世祖~成宗の時代をまとめて、後の“帝王学”のテキストとなりました。
彼が信じた儒教の基本精神と士林派の思想が違っていたことの証左になると考えられます。

三つ子の魂 百まで仁粋大妃(インステビ)と甲子士禍(カプチャサファ)

「戌午士禍(ムオサファ)」は、史草(「朝鮮王実録」を編纂する前の日誌)に残された、中国の“義王を偲ぶ弔辞の「弔義王文」”が引き金でした。
そのために、「戌午“史”禍」と表記されることもあるそうです。
1478年、燕山君即位4年目のことでした。

その後に起こる1504年(燕山君10年)の「甲子士禍(カプチャサファ)」は、次の第3話(下)でアバウトに紹介しています。
http://jumong007.blog133.fc2.com/blog-entry-3141.html

1.三つ子の魂百まで~家柄による差別

<第9代王・成宗>
(生1457年:没1494年)
(即位12歳)
2番目の正室・尹氏
(生1445年:没1482年)

「王の顔を引っ掻いた王妃」の廃妃・尹氏は12歳年上でした。
彼女は官僚の娘でしたが、その父親が早世だったために貧しい母子家庭で育ちました。
そのために女官として働き、その後側室から正室になりました。
そして、甲子士禍(カプチャサファ)の深いところにある原因は、成宗の母の仁粋(インス)大妃・韓氏(昭恵王后)が家柄や育ちを重視したことからです。
尹氏の廃位、そして賜薬という事件の裏には仁粋大妃の発言力があったとされます。

<第10代王・燕山君>
(生1476年:没1506年)
(即位18歳)
側室・張緑水
(生?:没1506年)

家柄を気にする祖母の仁粋大妃は、成宗の3番目の正室から生まれた晋城(シンソン)大君(貞顕王后の息子)を可愛がるようになったとのことです。
燕山君にとっては12歳年下の義理の弟に当たります。
つまり、
燕山君は3歳の時に母親が廃位されていなくなり、12歳になると継母からも祖母からも見放されて、広い宮廷の中に孤独に育った…。

しかし、燕山君の心の中には母親・尹氏のことが鮮明に残っていたと思います。
三つ子の魂百までといいます。
彼の深層心理に思いを馳せると、とても悲しくなる母親の悲劇だったと思います。

2.母の悲劇を知って

自分の妻を廃位して賜薬を送ったのは成宗です。
その裏には仁粋大妃と大妃を支援する“士林派”がいました。

『逆賊』第7話…寝所では成宗の臨終でした。
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「アバ媽媽!」

「世子…、服をしっかり着なさい」

「…!」

「世子…、朝鮮は儒教の国だ
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この後に続くのは、燕山君が、
「そんな儒教の国が私の母を殺したのですか
 アバ媽媽が自分の妻で私の母を殺したのですか?」
という言葉でした。

成宗はこの事実を「100年秘密にせよ」と王命を出していました。
しかし、
この事実を暴いて、燕山君に密告したのが戚臣の任士洪(イム・サホン)でした。

官僚の中では、王族との姻戚を関係を持っていた者たちと、功労による勲臣とは別々の派閥を形成していました。
つまり、この密告は勲臣たちと“士林派”を排除して戚臣たちが政権の中枢を握るための政略です。
他方、士林派を嫌う燕山君にとっては、“母の無念”を晴らす絶好のチャンスとなりました。

3.1504年(燕山君10年)「甲子士禍(カプチャサファ)」

第14話のこと。
余命わずかな議政・盧思慎(ノ・サシン:首相や副首相)がギルヒョンに、チョナ(燕山君)の鋭い知性(intellect)が怖いと言います

「チョナにはまだ解決の糸口が見いだせていないことがある」

「?」

「廃妃のことだ。
 血の繋がった母君の廃妃・尹氏のことだが、
 まだ何も決着の解決策が見いだせないでいる。
 それに、チョナの廃妃への怒りを抑える者がいないので、
 これが宮廷内でくすぶっている問題なのだ」

「チョナは個人的な恨みで官僚を罰するような人ではありません。
 ただ、王への反論が続く派閥には、
 怒りを抑えられないと言うだけです」

「ははは、派閥が…。
 私にも思い当たる者はいる。
 そなたと同じ様に派閥を嫌う者がいた。
 “反対する派閥を解消させることこそ、王への忠誠心”だと言っていた。
 しかし、そなたは賢い人だから、
 本当の“忠誠心”とは何のことなのか知っているだろう?」

「…」

「なぜだ? なぜ忠誠心が必要なのか?」

「…」

「私は死ぬ前に、お前を司憲府の大監に指名するつもりだ。
 そなたに頼みたいのは、
 恨みで王権までも堕落させるようなことにはならないようにして欲しい」

…私的な恨みで堕落。
恨みで王までが堕落…。

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<1504年の「甲子士禍(カプチャサファ)」の結果>

死罪;
成宗の側室だった、巖(オム)氏と鄭(チョン)氏(および2人の王子)
官僚の尹弼商金宏弼たち10余人

「剖棺斬屍刑(墓を暴いて斬首)」;
韓明澮、鄭汝昌、南孝温など

尹氏の廃妃に賛同した者;
洪貴達、金処善、李元など26人

その他、燕山君の行動を諫めた者:
2名が斬首と流刑

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知性は勿論のこと、燕山君は音楽や絵画、漢詩を好む鋭い感性の持主だったと思います。
その彼の心、王の心を掴もうとしたのが張緑水だったと思います。
緑水(ノクス)は奴婢(母は官妓)に生まれ、妓生(官妓)となり側室になりました。
正式な記録はないものの、燕山君よりは10歳以上の年上です。

また、ホン・ギルドンは、その王の琴線を揺さぶろうとしたのだと思います。

# 視聴率もあがり、日本での放送も月央には始まるそうですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EfBNR8I18QI

# さて、今週放送された第20話ではギルヒョン、ギルドンの兄弟の再会。
それにオリニの宮廷での生活の一部が描かれました。

ギルヒョンとギルドンの待ち合わせの場所

「ソン」

「ギルドナ…」

「…」
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# ギルドンは兄のギルヒョンを“ソン”と呼んでいます。
ソンには「선배(ソンベ:先輩)」のように先に生まれた人の意味があるので、
“ソン”なのでしょう。
要は先人のこと。

明国に向かう船を見つけた」

「ソン。 俺は自首する」

「駄目だ。 絶対にダメだ」

「ソン…。 これから言うことをよく聞いてくれ」

「…」
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# ギルドンは自首することで、燕山君との大きな取引を考えています。

宮廷に連行されたギルドン

「…」
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オリニとオンラン

「何があったの?」

「あの男は、盗賊のホンという頭目だわ」

「んん、そうみたいわね。でもなぜ?」

「なんとなく、悪い気がするわ」

「盗賊だから悪いと思う必要はないわ」

「…」

「でもそうね、私もなぜか親しみを感じるわ…」
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# 兄のことなのに変です。
子供の頃の強いショックや恐怖は、
自らそれを忘れてしまおうとする自己防衛本能があるそうです。
記憶に何か障害があると思います。

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