王は愛する 第32話(上) あらぬ噂

素焼き
(素焼きの状態の磁器です #)

王は愛する 第32話(上) 王妃の無実とあらぬ噂

ムソクに連れられて開京に戻ったリン

「これは毒消し作用があるお茶です」
(ソン・イン)

「味もなかなかですよ」
(オク・ボヨン)
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# 高麗磁器
赤みを帯びたお茶には解毒剤が入っていました。

「先にどうぞ、
 私は召し上がった後に口を付けます。
 もうこれまでのワン・リン監察ではありませんから」

「ここには、チュサンチョナに会えると思って来ましたが…?」

「お伝えします」

「このところ、健康状態が急に悪くなっておられます。
 世子には話をしたくないようなので、
 狩りに出かけているということにしています」

「…」

「知られると、王座を明け渡すようにと言われるからでしょう」

「なぜ気変わりしたのですか?」

「え?」

「これまで長い間、
 兄に世継ぎをしてもらおうとしていましたよね?」

「期待はしていましたが、彼は人が浅い。
 しかも、毎日酒を飲んで、女を侍らせているだけです。
 ご存知の通りで、我々には不満があります」

「“我々”とは?」

「この高麗の政権の裏で実権を持つ者たちです。
 もとより、高麗の建国に尽くした家系の者たちです。
 生き残って来た将軍もいます」

「その人たちが世子を廃位しようとして、
 それで王を狭い所に匿っている訳ですか?」
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オク・ボヨンが「チュサンはお休みですので、声を掛けませんでした」と言うのですが、リンは無視して、王の寝室に向かいます。

「チョナ。 ワン・リンです。
 お会いに参りました」

「…」

「チュサンチョナ…」

「…」

リンが扉を開けると、うつむいて座っている王

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「チョナ! 大丈夫なのですか?
 医者を呼びましょうか?」

「…。リンや…」

「どこが悪いのですか?」

「リンや」

「はい」

「まだ世子は生きているのか?」
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ソン・バンヨンは賄賂を贈っています

「今回は早速の報告に感謝すると、世子からです」 

「なぜですか?」

「捜査を取りやめにして貰ったお礼だそうです」

さらに、官僚たちには、
「将軍たちには捜査を中止して貰ったので、
 お金を渡しました。
 なぜ判府事か殺されたのか分かりますよね?
 世子は問題を覆い隠したかったからです。
 世子はウン判府事の資産だけでなく、
 判府事の娘を手に入れたかったからです」

「ではなぜ、
 世子は別の女を世子嬪に選んだのですか?」

「そこまでは分かりませんよ~」

いつもの浅薄な言動なのですが、これも官僚と世子との間に溝を作る作戦。

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広まる噂はウォンの耳にも入ります

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王とリン

「最初はワンビ、そして息子が…。
 私の民を苦しめている。
 ワン判府事は財政の困窮の度に救ってくれた。
 何も言わずに、黙って穀物や約束手形を出してくれた。
 見返りを要求することもなかった」

「…」

「よく似ているな…」

「…?」

「お前の叔母になる、チョンファ公主(王妃)のことだ。
 お前はよく似ている」

「…? ええ…」

「彼女は何も不満を言わなかった。
 彼女の優雅さと忠誠心はお前に引き継がれているからだ」

「公主様はお元気なのですか?」

「分からない。
 あれ以来、見てもいないし、噂も聞かない」

「…」
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「世子は母に似ている!
 あの二人は身体じゅうが棘だらけだ」

「…」

「傍にいると毒されるだけだ。
 “傍にいて欲しい”とお前を放さないだろうが、
 お前は血を流すことになる」

「…」

「あ~、外気が良いな…、
 天気も…、風も…、気分が良い」

「結婚式にはチョナに付き添ってください。
 周囲にチョナとの関係を見せてあげたいからです。
 将軍たちもいずれ世子には背を向けるでしょう。
 世子もきっと落胆して…」
(ソン・イン)

そこまで聞いたところで、リンは離れます。

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様子を窺がっていたのは“影の護衛”の一人。

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ワンビ媽媽とウォン

「いったいどうするつもりですか?」

「…」

教書(案)を開いて、
「“ウン・ヨンベク判府事の長女、
 ウン・サンを後継として、判府事の職に就ける”」

「なぜ急ぐのですか?」

「これは王妃の職務ですから、ここに押印をお願いします」

「…」

「チョ尚宮。
 ワンビ媽媽の印を頼んでいたはずだ」

「ええ…」

「…」
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「官僚たちが、あなたが罪を隠そうとしていると、
 噂していると聞きました」

「いいえ、そうではありません。
 彼らは、
 “世子が殺人を犯した。
 ウン・ヨンベクの財産と娘を手に入れたいからだ”
 と噂しています」

「私を憎んでいますよね」

「これまで何でも飲み込んできましたが、
 どうにもできません」

「私が悪かったと認めるから、
 そこまでにして下さいよね?」

「本当に謝っているのですか?」

「もう一度言います。
 私は判府事を殺してはいません」

「ええ。
 それに証言した女官の殺人についても関与していませんよね」

「本当に判府事の娘を宮中に引き入れるのですか?」

「ええ、そうします」
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# ウォンの表情からは、ワンビ媽媽への信頼と共に、事件の背後には何かがあってのことだと気付いているように思えます。

「あなたが彼女を宮中に引き入れたら、
 後戻りはできませんよ。
 周囲の者たちは、
 “世子が愛しているから、愛のために全てをなしている”
 と確信するだけです」

「そんなことをまず言い出すのですか?
 これまでの問題はオマ媽媽の責任です!」

「世子…」

「もう、何も聞きません!」

「あの娘を諦めなさい」

「私の周囲にいる者を全部諦めさせようとするのですか?
 まずは友達のリン…」

「いいえ、リンは友達ではありません」

「オマ媽媽がそうしたのです。
 それに殺そうとするのですか?!」

「いいえ、私は誰も殺しはしません。

「サンのことは…、
 私の傍において、私が彼女を守ります」

「…」

「嫌だったら、オマ媽媽こそ出て行って下さい」

「!」
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胸の痛み…。

「…」
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ワンビ媽媽には持病(肺?)があるのですが、投薬にも謎があるようです。

# 高麗磁器

陶器は長石や石英質の多い粘土で作られます。
しかし磁器は、まず長石・石英の岩石をパウダー状に砕いて水を混ぜて形が作られます。
焼いて水分を飛ばしたのが、写真の素焼きの状態です(有田の源右衛門窯での撮影)。
次いで、
長石や石英質の多い粘土に草木の灰を加えて水に溶いて作られた釉薬(うわぐすり:ガラス質)を塗ります。
そして、再度焼くと“高麗磁器”の透明感がある青緑の色が出ます。

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王は愛する 第31話(下) 疑惑の種

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(今週は雨:先週の秋の空)

王は愛する 第31話(下) 撒かれた疑惑の種

夕暮れになって

「地面からの冷気さえ遮断できれば大丈夫です」

「それは酒だわね」

「ええ、よく眠れるようにと持って来ました」
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「アボジ…、埋葬まで付き合えなくてごめんなさい。
 これはリン監察が持って来てくれたお酒だわ。
 あまり良い物ではないけど、一杯飲んで下さい」

「海に到着したらアボジが用意してくれた船に乗るわ。
 港までの旅はリン監察が守ってくれるから…。
 頼りになる人だわ」
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「本当にそう思っていますか?」

「え?」

「港までだけですか?」

「ええ、付き合ってくれて、
 お酒まで用意してくれて感謝しているわ」
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「違いますよ。
 港まででなくて、船にも同行するつもりです」

「…」

「どこまでも一緒に行くつもりです。
 これからはずっと一緒にいるつもりです」

「…」

「それが判府事オルシンの遺志だったことを知らなかったのですか?」

「…」

「何か他のことを考えていますか?」

「…」

「世子チョハのことですか?」
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タンとウォン

「泣いているのか?」

「いいえ」

「ではお付きの尚宮が原因か?」

「違います」

「では宮中が怖いのか?」

「いいえ」

「誰だって初めてのところでの最初の夜は怖い。
 俺は長いことここにいるが、それでも毎晩怖い」

「…」

「ここは怖い所さ」

「大丈夫です。
 毎日、お式の準備で忙しくしています。
 何人もの人が衣服を縫っていますから、
 私も寝てはいられません。
 寸法を合わせたり、試着させられたりです」

「式を急がせてすまない」

「急いで頂いて感謝しています」

「全てを簡素にしたいと思っているから、
 他国からの使者も来ない。
 披露宴にも提灯の数は減らした」

「手を取って貰って、
 “貢女”から救って頂いただけでも嬉しい思いです」

「どうしてそんな態度なのか?
 突然、世子嬪になるのが怖くなったか?」

「いいえ、これだけで十分ですから、
 これ以上の欲心を持つことは罪です」

「そうか…。悪くないな」
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「一つ質問させて下さい」

「…」

「私はやはり“第一”ではありませんか?
 これからもずっとそうなのですか?」

「…」

「それとも、こんなことを聞いてはいけませんか?」

「チン・グァン、俺には付いて来るな。
 これからは彼女が怖くないように、
 世子嬪媽媽のお供をするのだ。
 よく眠れるように…」

「…」

「御命お受けしました」
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こちらも夜

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しかし、ムセクたちが近づいています。
(ウィもようやく追いつきました)
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朝になって魚とりですが…

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ムセクたちが追いつきました。

「待てと言ったはずだ。
 なぜ待たなかったのか?」

「…。待っても戻らないと思ったからだ」

「二人は何のことを話しているの?」
(サン)

「何をしたいのか?」

「ただ、あなたを連れてくるように命じられている」

「断ったら?!」

「あなたを連れ出した人を切ります」
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「先に逃げ出せますか?」

「一緒に闘いましょう」

「いいえ、どこでもいつでも後を追いますから、
 先に逃げて下さい」
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「分かった一緒に行こう」

「…」

「一緒に行くから…、
 彼女が安全にここを出ることができれば、
 同行する」

「…」
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チャン・ウィがそこを見ていました。
先にその場を離れたサンに、“世子からの手紙”だと手渡します。

「リン監察が危ないから救いに行きましょ!」と言うサンに、

「いいえ、連れられるのではなくて、
 リン監察が引き連れて戻るようです」

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「世子チョハからの命令です。
 どうぞ読んで下さい」

「…」

「お答次第で、私が一緒に帰ります」
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(封書には銀細工のモッコリが入っていました)

東宮殿にイ・スンヒュ師匠が将軍を連れて入って来ます。

「どうしてここに?
 私が守ると言いましたが、お断りでしょうか?」
(ウォン)

「…」

「あ~、結婚式のことですか?
 チャンスや、まず席を準備しなさい」

「世子チョハ。
 責任者の一人をお許しになりましたね?」

「私を叱りに来たのですか?」

「その必要はなかったからです」
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王室の印が押された穀物袋が発見されましたが、
「備蓄用の穀物倉庫を調べたところ、
 あれは昨年からの穀物で冬からの物でした。
 それに、
 御印はまだ乾いてもいませんでした」
(将軍)

「判府事が宮中に来た途端に亡くなりましたが、
 同じ時に宮中で亡くなった者がいました。
 元成殿に仕える女官が死んでいました」
(スンヒュ)

「…」

「首を吊った自殺だと聞きましたが、
 再検査したら、先に毒殺されていたことが判明しました。
 その後に、
 穀物が判府事と大法官の倉庫にあるとの矢文が軍に届いたわけです」

「それで?」

「すべては元成殿から始まっています。
 どのようにお考えですか?」

「チャンスや。
 師匠は遠くからのお出ましで、お疲れのようだ」

「これは王になる人への私の諫めの言葉ですが…」
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「…」
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一話が30分だからでしょうか?
30分ごとにまとめようとする演出のためなのか、これまでのドラマ以上に展開のテンポが速いなと感じます。

ソン・インが撒き散らす“邪悪の種”の発芽のスピードも速く感じます。
中宮殿でのウン・ヨンベクと女官の死が、あらぬところで仲間たちの心に疑惑を生んでいるようです。
ソン・インの分断作戦が成功したとも言えるのですが、ここは潔白であるワンビ媽媽に一汗かいて欲しいものです。
(穀物袋の問題は拙速な行動が墓穴を掘ったと思いますが…)

ただ、私も、サンとリンの逃亡については無責任だと思って見ていました。
ウォンが困っていると、解っているはずだからです。
壊れかけた友情を取り戻して欲しいです。

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王は愛する 第31話(上) 港へ

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(ハナミズキの実:2017.10.11)

王は愛する 第31話(上) 港に向かう二人

(葬儀の列)
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チャン・ウィに託した手紙

「ウン・サン アガシに手渡してくれ。
 きっと来ると思うから、安全を確保してくれ」

しかし、葬儀の群衆に阻まれて近づけないウィです。

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みんなが集まった金華亭で、ウォンは聞かされます。
リンは追手(フラタイやムセク)を「葬儀の列に近づけないようにしてくれ」と依頼していました。

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また、サンは葬儀の前夜に、屋敷で働く者たちを集めて“退職金”を配っていました。

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「リンの奴…、馬鹿な…。
 逃亡することが優先なのか?」

「…」

「それでどうなるというのか…?
 もう少し策略というものを知るべきだ…。
 作戦を聴くためにも私のところに来るべきだった…」

「ナウリの遺言でした」とリンとサンの結婚の進言のことを伝えるコ・ヒョン
(ウォンが知らない一点でした)

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「どんなに汚い手を使ってでもリンを救う計画だったのに…」

「…」

「どこに消えたのか?
 いったい一人で何ができるというのか…?」
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チャン・ウィは葬儀から抜け出した馬車を追います

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ピヨンを探したムセク

「いつの間にか…」

「屋敷には誰もいなかった」

「上へ下への大騒ぎだったわ。
 どうしてここが分かったの?」

「探していたからだ」

「私も探したわ。
 挨拶もしないで去っても良いものかと思って…」

「どこに行くのか?」

「執事と一緒に安全な江華島に行くわ。
 東の方だわ」
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# 江華島(カンファド)は、漢江の入り江の島。
開京からは南西の方向です。

ムセクはピヨンのマスクをはぎ取って、
「俺は気にしない。他の者が気にしても…」

「…」
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船着場に向かうサンとリン

「日が暮れるがどうも民家が見当たらない…。
 夜露は冷たいから…」

「あっちに雨宿りできる処があるわ」

「知っているのですか?」

「ええ、アボジと何度か通った場所だわ」
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「アボジの話をして下さい」

「つまらないわよ」

「聞きます」

「アボジは高麗だけでなく、世界中を旅していたわ。
 一緒に旅をするときは“ナウリ”と呼び、
 二人だけになると“アボジ”って呼んだわ」
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東宮殿に戻ったウォン

「チョハ、遅いではないですか。
 ワンビ媽媽が中でお待ちです」

引き返そうとするウォンにキム内官は、
「将来の花嫁のことを考えて下さい。
 タンお嬢様に悪いですよ」

「…」
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「ここで何をしているのですか?」

「あなたは仕返しをしているのですか?
 婚姻のことです。
 王妃として最終許可を出さないといけません」

「止めて下さい。
 様々な策略を巡らすことを止めて下さい。
 無実の人を傷つけるだけです」

「世子…」
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「まだ分からないのですか?
 “世子のため”だといつも言いますが、
 そのたびに孤独を感じる結果となっています」

「私はこの日のために…」

「まだ分からないのですか?
 これが私を生かすためでしょうか?
 いいえ、オマ媽媽のためです」

「…」

「毎日が退屈で暇だったから、
 私を玩具として楽しんでいたのですよ」

「…」

「そして自分が生きるための言い訳です」

「…」

「私が選んだ世子嬪には手を出さないで下さい」

「…」
(涙を浮かべるワンビ媽媽でした)
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忠烈王

「世間はワンビ媽媽と世子との不仲を噂しています」

「んん…」

「チョナ、そろそろ宮廷にお戻りしないといけません。
 世子の婚礼です」

「世子はまだ生きているのか?」

「結婚式です」

「あの子はなぜ私を憎んでいるのか…?
 小さい時には、たくさん笑顔を見せてくれたのに…。
 なぜ憎むのか…?」

「怖いからでしょう?」

「母親がそうさせたのだろうか?
 “アボジを憎め”、“それが生きる道”だと…?」

「…」

「または、お前がささやいたのか?」

「…」

「“チョナ…、チョナの息子が憎んでいます”、
 “殺そうとしています”と…」

「何と怖いことを…」
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「あの娘が、息子が愛している娘が言った。
 “なぜ自分の息子をアボジが信じないのでしょうか?”
 と…」

「…」

「世子や…、まだ生きているか…?」
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東に向かった二人です。
東海岸の束草(ソクチョ)の港でしょうか、それとも(南東の)漢江(ハンガン)の麻浦(マポ)の船着場でしょうか?

リンもサンも、ウォンが婚儀に際しての祝いの特赦で過去を水に流す計画を知りませんでした。
他方、
ウォンは、ウン・ヨンベクの心臓発作のために、サンとリンの婚姻を進める両家の合意を知りませんでした。
しかし、いずれにせよウォンが言うように、

「それでどうなるというのか…?
 もう少し策略というものを知るべきだ…。
 作戦を聴くためにも私のところに来るべきだった…」

同感です。

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王は愛する 第30話(下) 急がれた婚儀

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(2017.10.09)

王は愛する 第30話(下) 急がれた婚儀

ワン大法官とウン判府事の倉庫の穀物袋に王室の印を押すのはフラタイたち

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そして、野営の軍には矢文

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「世子チョハ! 早く起きて下さい!」

朝から将軍たちが王宮にやって来ます

「久しぶりだな~、将軍たち」

「…?!」

「昨日会ったばかりだったかな…?」

「…、矢文が飛んで来ました」

「ただ事ではないな」

「…。
 そして、倉庫から消えていた備蓄の穀物を発見しました」
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「どこからか?」

「ウン・ヨンベク判府事の屋敷です。
 袋には王室の印が押されていました」

「他にも、ワン・ヨン大法官屋敷にありました」
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目が覚めたウォンでした。

「リンはどうした?」

「まだです」

「もう少し待とう」
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葬儀

「さあ、判府事をお送りしましょう」

「ええ」

「だた、これだけは覚えて置いて下さい。
 判府事は“娘の安全”だけを祈っておられました」

「分かっているわ」

「それで良いです」
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ワンビ媽媽

「リンとウン・サンは葬儀です。
 二人とも逃げ出さないように、
 世子が見つけ出す前に確保しなさい。
 抵抗したら殺しても良い」
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忠烈王

「ワンビが何をするか明らかだ。
 リンの安全のためにここに連れて来い。
 すぐにでも世子にする」
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ウォンは手紙を書きます

…ウン・サンそして私のソファへ

申し訳ないが葬儀には参列できない。
以前、リンとソファのどちらかを選べと言われた際とは違って、
今回はリンを選ぶことにした。
あの時リンが笑ったように、今度はソファに微笑んで欲しい。

# 以前の牢獄でのことでした。
投獄されたリンとサンのどちらかを許すという王からの二者択一を迫られて、ウォンはサンを選びました。

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内命府(ネミョンブ)からの使いで、
タンには、結婚式の準備のために宮中に入るようにとの指示。

同時にウォンは特赦の教示をだします

「世子の婚儀を前に、官職を与えるとのことです」

「?!」

謀反以外の罪は全てを特赦にする。

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(ウォンの手紙の続き)

…いつだったかの言葉を覚えているか?
ソファのオモニの遺品として銀のモッコリを貰った。
いつか頼みが出てきたらそれを見せると、
“何でもやってくれる”ということだった。
私は、いつまでもお前は“俺の最優先だ”といった。
サンや、私のソファ、どうか戻って来てくれ。
私の傍に。

銀のモッコリも入れて蝋で封印し、チャン・ウィに託しました。

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葬儀の列

ワンビからの指示でフラタイはリンとサンを連れ戻そうとします。
他方で、忠烈王の指示でリンを連れ戻そうとするソン・インとムセク。
チャン・ウィは手紙をサンに届けないといけません。
いずれも群衆に阻まれます

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解説になるセリフがないので、ここは分かり難いと思います。
以下だと思います。

・宮廷の備蓄庫から盗まれた穀物事件
ワンビ媽媽は自分の中宮殿で起きたウン判府事の死をうやむやにするために、
ウン判府事の屋敷の穀物袋に王室の印を押させ、濡れ衣を着せた。
(発見されるようにと、フラタイたちが矢文で将軍に知らせました)
→ときどき見せるワンビの浅知恵と拙速な行動でした。

・ウン・ヨンベク判府事の心臓発作事件
この件ではウォンもリンもサンも疑心暗鬼に陥っています。

・急がれた婚儀と特赦
ウォンは全てをまとめて帳消しにするために、婚儀(祝事)の特赦を出しました。

「…」
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(リンとサンは逃亡を計画しています)
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王は愛する 第30話(上) 大高麗? 純血?

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(シマトネリコの木:2017.10.06)

王は愛する 第30話(上) 大高麗? 純血?

ワンビ媽媽はチェ・セヨン内官が密偵を働いていることを知っていました。
母親を連れて来ての詰問です。

「お前が間者だと知らなかったとでも思っているのか?」
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「彼らは単に判府事の財産を狙っているだけではありません。
 ワン・リンを確保するためです。
 ワン・リンが判府事の娘のことが好きだから、
 婚姻を進めようとしたのです」

「“彼ら”とは誰のことか?」

「江陽君(カンヤングン)と配下の者たちです、媽媽~」

「ワン・ジョンではなくて、ワン・リンなのか?」

「どうか、母親は許して下さい、媽媽!」

「…」

「彼らはこの時を待っていたのです。
 ワン・リン若旦那の成長を待っていたのです」
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酒を飲んでいるウォン

「この仙露酒は貴重なものだから、私が自分で…」

「チョハ…」

「あといくつ残っているのか?」

「13瓶です」

「そうか…、まだたくさん残っているのだな…」

「俺たちが3人で山に登って…」
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「酒を飲んで酔うことで…、
 彼らのことを考えるのを忘れようと思った。
 しかし…」

「ワンビ媽媽がチェ・セヨンを尋問したところ…」

「ちょっと待ってくれ…」
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お通夜

「お帰りですか?」
(ピヨン)

「アガシは…。
 用事を済ませてまた戻って来ます」

「今夜中にお戻りですか?」

「ええ、夜明け前までには戻ります」

そしてリンは、ピヨンにサンがいつでも旅立つことができるようにと荷造りを頼みます。

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父親の屋敷に行って、“兄のチョンではなく”、リンとサンの婚姻のことでウン・ヨンベク判府事が合意していたことを聞きます。

「健康状態が悪くなるにつれて娘のことが気掛かりだったようで、
 お前のことがお目に留まっていたようだ」

「…」

「お前のことを信用しておられ、
 お前に娘の将来を託したいとのことだった。
 ワンビ媽媽次第では娘も危険になると思っておられたようだ」

リンは全てを捨てて、サンと共に国を出ると申し出ます。

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中宮殿では咳き込むワンビ

「ウン・サンから貰った書類を…」

財産目録でした。

「なんと…。
 ここまで考えてくれていたのか…」
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「媽媽、今夜はおやすみ下さい」

「時間がないのだ。
 私の息子が崖の淵に立たされている…」
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東宮殿

「警備の者たちには伝えたか?」

「ええ、ワン・リン旦那が来たら、
 すぐにここに通すようにと伝えました。
 全ての警備に伝えましたが、もう夜も遅いですから…」

「来ますか…?」

「ああ、来るさ。
 私には話すことがいくつかあるはずだ。
 朝までは待てない筈だ」
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ソン・インとリン

「今日の話に結着を付けたいから来ました」

「必ず戻って貰えると思って、待っていました」

「なぜ私を兄のカンヤン君に会わせたのですか?」

「真実を明らかにするためです」

「何をですか?」

「この国の純血の王族に、玉座に座って欲しいからです

「まさか、謀反を企んでいるのですか?」

「どうか世子になって下さい。
 私は私の世子チョハのためにも、
 殺した方が良いのかとも思っていました」

「…」

「この国、大高麗が元からの束縛を離れ、
 純血の世子を擁立する」
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「は!
 “大高麗”とか“純血”とか?!
 世子とチュサンチョナの仲を裂いて、
 自分の欲望を満たそうというのか?!」

刀を抜くリン

「…」

「私が生きている限り、
 あなたとあなたの仲間を探し出して排除する。
 高麗に寄生する害虫を駆除するためだ!」

リンが奥に進むとソン・インに加担する官僚たちが並んでいました。

「…!」

そして、奥の部屋には忠烈王が…。

「ああ、お前の王だ」

「チョナ…」
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忠烈王は貴族・官僚たちにより、一度廃位に追い込まれました(1294年)。
しかし、すぐに元のバックアップで復位しています。
その史実から、忠烈王が“元との混血”などの“反元”的言動をするという“原作の設定”には無理があると、先に書きました。
ただし、<朝鮮王朝>第21代王・英祖の長男・思悼(サド)世子(第22代王・世祖:イ・サンの父)は、好きなお酒に毒物を混入されて奇行に走ったとの説があることから、薬物によって情緒不安定にさせられた可能性もあると思います。

それにしても、演じるチャン・ボソク。
これまで腹立たしいほどの悪役が多かっただけに、パボな演技に“可愛さ”まで感じさせてくれます。
さすがのベテランですね。

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王は愛する 第29話(下) 愚かすぎる陰謀

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(先週のうろこ雲)

王は愛する 第29話(下) 愚かなソン・インの陰謀

サンは中宮殿に“天血”があったので、当然ワンビ媽媽を疑います

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「あえて私を中傷しようとするのですか?」
(ワンビ)

「あの薬はアボジがいつも携帯しているものです」

「静かに!
 話があればまず私に話しなさい」
(ウォン)

「私に当てこすりをするのですか?」
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サンを制するフラタイ

「何をするのか?!
 彼女の父親が亡くなったばかりだぞ!」

「アボジは元気だわ! この薬を飲めば…!」

「サンや」

「!」

「私が行った時には、もう既に亡くなっていたのだ」
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「ワンビ媽媽はウン家の財産を欲している。おそらく、何としてでも手に入れるだろう」とのソン・インの言葉で、走るリンは出入り禁止を無視
「すまない」と強行突破します。

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東宮殿

「なぜお前がここに?」

「サンアガシはどこですか?」

「お前の立場が分かっているのか?」

「判府事オルシンは?!」

「…」

「どこにいるのですか?」

「…、亡くなった。 持病だ」

「アガシは?!
 元成殿なのですか?
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「俺が面倒みる」

「リンを誰にも気付かれないように外に連れ出せ」

「!」

「俺が王命でお前を救ったというのに、
 俺の話が聞けないのか?!」

「…」

「お前と親しい俺はどうなると思うのか?
 王命に従わないと、他の者が許してくれなくなる!」

「判府事オルシンはなぜ亡くなったのですか?」

「持病があることは知っていただろう?」

「一人だけだったのですか?」

「なぜ詰問するのか?」

「他には誰も傍にいなかったのですか?
 ワンビ媽媽の指示で控室に連れて行ったのは誰ですか?」

「何を言い出すのか?」

「お茶には毒薬が入っていなかったのですか?」

「いったい何を言い出すのか?!
 オモニに当てこすりするのか?!」

「判府事とサンアガシには俺が仕えます!」

「俺が面倒みると言ったはずだ」

「信用できない!」

「いったい誰のことを信じられないというのか?!」

ウォンはリンに一発

「これ以上、彼女を宮中に置いておくことはできない!」

「リンや…」

「あの人は俺が面倒をみる!」
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リンは大監の遺体の傍に

「アボジが常備薬を飲めないわ」

「…」

「もう息ができないわ…」

「…」

「身体が冷たくなって…、アボジは…」

「…」

「家に帰ります。
 アボジと一緒に家に帰りたいわ」
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「…。駕籠を準備しろ」

「はい、チョハ」

「リンは命令に背いたが、
 私の命令で判府事をお連れするために来てもらったことにする」
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チョ尚宮

「あの薬は初めて目にしました。
 サンお嬢様が見つけるまで、
 私には何のことかも知りませんでした」
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チェ・セヨン

「私は御命によりアガシをお連れしただけで、
 何も知りません」

「何が欲しいのか?」

「私は何も知りません」

「いったい何が欲しいのか?!」

「媽媽…」
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「本当に判府事は死んだのですか?」

「ええ、遺体は屋敷に帰りました」

「暗殺なのか?」

「死因などを医者が調べていましたが、
 お嬢様が制止しました」

「私の中宮殿で人が死んだのだ…」

「ええ、どうしましょうか?
 官僚たちの噂になっています」

「私が先に財産は頂きますからね!」
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ソン・イン

「まずは世子を孤立させることでした」

「ワンビと世子を引き離すことは簡単ではない。
 繋がりは深い」

「その難しさを何とかやり遂げないといけません」

「その後はどうなるのか?
 世子の仕事振りには世間が評価している。
 馬鹿な兵士たちや、
 取り巻きの官僚たちも褒めている」

「褒めちぎっているということは、
 期待が大き過ぎるということにもなります。
 大きな期待ほど、逆になれば落胆も大きくなります。
 世間に背を向けさせるのは簡単です」

「では世子はどうなるのか?」

「最期には、世子の親友と恋人も背を向けるでしょう。
 そうなると世子の底が見えてきます。
 そして、自滅する筈です」

「なるほど…」

「チュサンチョナはどうですか?」

「ははは、これまでになく、静かで優しい。
 オク・ボヨンの薬は何とも怪しい香りだ。
 あ~、今はム妃と呼ぶのだった…」
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先に動きを見せたのは女官でした。
待合室から香炉を持ち出そうとします
しかし、ウォンが動きを待っていました。

「最初からこれが気になっていた。
 この香炉は元成殿では使用されていない物だ」

「…」

「オマ媽媽はお香にうるさい人だからだ」

「私は何も知りません。
 この部屋を片付けるようにと指示を受けただけです」

「真夜中に密かにか…?
 取り調べろ。
 香炉を待たせている御医に渡してくれ」
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「これはジャコウとチンギョン草などから作られた刺激のある香です」

「薬草なのか?」

「この国には原生しない薬草です」

「心臓に持病がある者にとって、どんな作用があるのか?」

「非常に危険で、呼吸と循環系に悪影響を与えます」

「あの女官はワンビ媽媽の命令だと自白しました」
(チン・グァン)

「…」
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お通夜と葬儀の準備

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「ゆっくりと深く息を吸って…」

「…」
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「…」
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“王妃と世子(ウォン)が共犯で殺人を犯した”ということで、
世子の廃位”もフビライにも言い訳ができると考えたソン・インでしょう。
しかし、この陰謀も考えが浅く、早計だと思います。
しかも、オク・ボヨンには王にも毒薬を投じさせています。

世子の座をリンに譲らせて、王も死ねばリンが高麗の王になるということになりますが、
ありえない話ですね。
”元”のフビライ・ハンからの冊封(許可)を受けるのは難しい。
まずは元からの大調査団が派遣されるでしょう。
フビライ・ハンのパワーとヘゲモニー(冊封制度)の深意を知らずして、
ドメスティックな陰謀を進めると、韓半島全体が“元”に乗っ取られる危険がある。

忠烈王が元との関係に気づかったという点も疎かになっているので、
私は小説(原作)の設定にやや疑問を持っています。
ただし、ソン・ジナ作家の脚本の魅力、セリフの魅力はいつもながらです。
惹かれます。

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王は愛する 第29話(上) 世子のために生きる

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# 元成公主・ワンビ(王妃)が愛した芍薬(シャクヤク)

王は愛する 第29話(上) 世子のために命を懸ける

ワンビ媽媽の御呼びに応じるサン
(他の内官たちが小走りしています)

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通りかかったボヨンが、大監から取り上げた“天血”という薬を、チェ・セヨン内官に渡します。

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ウン判府事を待たせていたのは、サンとの茶飲み話が先だったからです。

「私が最初に高麗の世子に会ったのは11歳の時でした。
 高麗からの世子嬪選びのための訪問でした」

「はい」

「背が高く、怖い顔の人だったので、
 その夜は悪夢を見ました」

「…、はい」

「アボジ…、皇帝のことですが、
 アボジは“娘はまだ幼い”と断りましたが、
 毎年お伺いがありました。
 アボジは、娘を遠くには嫁に出したくないとも言っていました」

「そうでしょうね」

「15歳の時に、こっそりと世子を見ました。
 部屋に戻ろうとすると、
 シャクヤクの花を持った人が立っていました」

「世子ですね?」
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お茶の準備のお盆には“天血”と書いた薬
(チェ・セヨンが置いた物です)

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「16歳の時に高麗に来ましたが、
 言葉もまだできずに、人は私のことを怖がりました」

ワンビは命を懸けて、世子のために生きることに決心したと。

「私の父も同じようなことを言っていました」

「しかし、いまだにチュサンチョナの味方の者たちは、
 新しいを世子を作り出そうと、
 世子を廃位することに熱心です。
 命も狙われています」

「命までも…?」

「世子には力が必要なのです。
 あなたのお父様の資産の助けも必要です」

「…」

「世子に差し出すことができますか?」

そこに、チャン・ウィが飛び込んで来て、
「大変なことが起きました!」
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「いつも携帯している薬がないわ!
 見ませんでしたか?!」

「突然の心臓発作でした」

「!」
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「すでに息を…」

「!」

サンは思い出して、ワンビの部屋の茶器の盆の傍から“天血”を見つけます

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「アボジにすぐ飲ませないといけないわ!」

「サン…。サンや!」

「薬を…」
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「ところで…、
 なぜこの薬がここにあるのですか?」

「…?」

「彼女の話がお解りになりませんか?」
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リンとソン・イン

「チュサンチョナと狩りに出かけていたのではありませんか?」

「そうではありません」

「ウン大監が危険だと聞いて、ここに来ました」

「ワンビ媽媽のことをどれくらい知っていますか?」

「…」

「元成公主がどれくらい危険な人だか知っていますか?
 江陽(カンヤン)君が来ています」

「…」

「あなたの叔母に当たるチョンファ前王妃の長男ですよね。
 もともとはこの高麗の世子になるべき人でした」

「なぜヒョンニムがここにいるのですか?
 いったい、何を考えているのですか?」

「元成公主が高麗に来た時は16歳の時です。

「なぜ寺にいないのですか?」

「寺も危険だから、あちこちで暮らしている。
 この高麗の世子になるためです」

「…」
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書を食べているカンヤン君

「寺にいる時に、
 ワンビ媽媽が贈った薬入りの菓子を食べて、
 高熱が出たのが原因です」

「そんな話が…」
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「医者が菓子の中から毒物を検出しました」

「…」

「ワンビ媽媽がウン大監を呼んでいます」

「?」

「これはあなたとサンお嬢さんの婚姻を進めるためです。
 ウン大監は納得していますよ」

「…」

「まさか知らないのですか?」
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ソン・バンヨン

「ワンビはウン大監の資産が欲しい筈なのに…」

「ええ、チョナ」

「それなのに、ワンビが殺した…?」

「ええ、そうでしょう」

「世子は?」

「世子とワンビ媽媽は近いので、おそらく共謀でしょう」
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「私が毒ヘビをこの国に入れたということか…」
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“元寇”を前にした結婚だったので、元と高麗の関係強化だという説もあるのですが、
今日のワンビ媽媽の話にあったように、元成公主:クトルク・ケルミシュ(モンゴル名)への求婚をしたのは忠烈王であって、
フビライ・ハンの押し付けの政略結婚ではなかったと思います。
ドラマではその説を採用したようです。

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王は愛する 第28話(下) 侵入した毒蛇

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(秋の空:一昨日)

王は愛する 第28話(下) 忍び込んだ毒蛇(オク・ボヨン)

ウン・ヨンベクはワン・ヨンを訪ねます

「私の方から先にお礼を申し上げに行かないといけませんでした。
 お嬢さんの証言によって、息子は救われました」

「私は無実を信じてはいません。
 しかし、娘がそう決めたのです」

「…」

「娘は8年間も耐えて来たのに、復讐を諦めました」

「判府事は、奥様の死に息子が関与していると思っているということですか?」

「あなたこそ、どう思っていますか?」
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ピヨンとムセク

「ナウリは、話をするために早く帰りました。
 しかし、簡単だとは思いません」

「…」

「サンアガシとワン家の次男とは…」

ピヨンはムセクに、まだ“資産をどこかに隠している”と…。

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タンはお菓子やお餅を持ってウン大監と父親の席に入ろうとします。

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「大監の三男は、娘のことでとても苦しんで、
 心配しています。
 ワンビ媽媽の、娘への怒りが怖いからです」

「何か方策はありますか?」

「二人を結婚させて、
 遠くの国に行かせようかと思っています」

「はぁ…」

「ワンビ媽媽は“元”から来ていますから、
 元は無理です。
 私はもっと遠くの国を考えています。
 私はサラセンにも配下の者を抱えています」

「王族の家族になるには公式な戸籍作りが必要です。
 それは内命府(ネミョンブ)の長のワンビ媽媽に権限があります」

「我々が同意するならば、
 ワンビ媽媽にも許可を得たいと思います」

「…」
(聞いていたタン)
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チン・グァンとタン

「アガシ…?」

「…」

「どうしたのですか?
 ワン・リン監察に伝言を届けようかと思って…。
 どうしたのですか?」

「分からないわ。喜ぶべきか悲しむべきか…?
 チン・グァン…」

「はい、アガシ」

「兄にはもう会えなくなるかもしれないわ…。
 でもこれで良かった…、
 でもどうしたら良いのか…?」
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ソン・イン

「幸運だったかもしれません。
 判府事と娘が事を複雑にしました。
 そこで、もう一度利用して、
 世子とワンビ媽媽との間に亀裂を作ろうと思います。
 そしてワン・リンを味方に引き入れようと思います」

「リンは良い男で、私のことも良く思ってくれている。
 世子には王位を諦めさせろ」

「元帝国にも納得できるような理由を作ります」

「リンは優しい男だ」

「リンを王位に就けて、
 我々の操り人形にしましょう」

「…」
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リンを待っていたのはムセク

「ここは検察府だ。
 自白にでも来たのか?」

ウン・ヨンベクが危険だと嘘を言って、リンを連れ出します。

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ウン・ヨンベクは、リンとサンの婚姻の許可願いにワンビ媽媽の中宮殿を訪問します。

「判府事が王族への戸籍登録の申し出に来ています」
(チェ・セヨン)

「内命府(ネミョンブ)への登録なのですか?」
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中宮殿(元成殿)の待合室

オク・ボヨンがお茶を持って現れます。
同時に香炉も…。

香には毒が仕込んであります。

「…」
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心臓発作

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薬を出しますが、落としてしまいます。
薬を取り上げるオク・ボヨン

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リンとサンの婚姻願いだと聞いて、駆けつけるウォンですが…。

「チョハ、遅すぎました」
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「!」
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ドラマ『信義』(ソン・ジナ作家)でも終盤は毒との戦い。
数種類の毒を操る王族に「徳興君」が登場しました。
この徳興君の生涯は不明で調査中らしいですが、実は第26代・忠宣(チュンソン)王(ワン・ウォン)の3男との記録だけが残っています。
なお、ウォンの次男が第27代王となります。

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王は愛する 第28話(上) 傍で仕える…

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# ストック(木の幹の意味)という名前の花です。

王は愛する 第28話(上) 傍で仕える…?

胸の痛みが続くウン大監(判府事のウン・ヨンベク)

「ナウリ、大法官の3男息子が来ていますが、
 追い返しますか?」

リンは土下座して謝ります。

「私たちの家族が、
 判府事のご家族には許されない罪を犯しました」

「この国の王室は、
 あなたの家族は無実だとの結論を出しました」

「いいえ、罪を犯しました」
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「罪を?…、それはあなたではない」

「…」

「娘にとっては衝撃が大きいことになって、
 不本意でもあるでしょう。
 娘に会いますか?」
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サンの部屋の外から、
「サンお嬢様。
 お陰で我々の家族は生き永らえることができました。
 いかに感謝すれば良いものか分かりません。
 許しを乞うつもりはありません。
 ただ、ワンビ媽媽が証言の前にあなたを呼んだことで心配しています」

サンは後ろに来ていました。

「…」

「ワンビ媽媽の言い付けに反したということになりますよね」

「…」

「きっとワンビ媽媽には嫌われることになるかと…」

「…」

「私は何としてもお守りしたいと思います。
 私は去りますが…」
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「どこに行くのかしら?」

「!」

「なぜなの?」

「全羅道の検察官として赴任します」

「いつなの?」

「たぶんすぐに…」

「気を付けて…」

サンはほとんど無視しようとしますが、リンはサンの腕を掴んで

「大丈夫なのですか?」

「いいえ」

「病気にならないように…」
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「…。
 あなたは悪いことは一切してはいないわ。
 あなたはいつも私を抱き留めて、
 私が逮捕されるとすぐに傍にいたわ」

「…」

「泣いていると傍で待っていてくれたわ」

「…」

「それで…、オモニが亡くなった日は、
 私は馬車の中で家に帰る途中だった。
 私はオモニを抱きしめていたけど、とても冷たくなってしまったわ」

「…」

「それが忘れられないのよ」

「…」

「だからだと思う。
 私はあなたの傍に近寄れない…。
 何もなかった振りは出来ないから…」

「ええ」

二人の会話を聞いていたウン大監と執事のコ・ヒョンは深いため息をつくしかありませんでした。

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さて、東宮殿から王宮に移ったウォン

「まずは、官僚たちの腐敗を調べあげよう。
 一気に2から3品階に亘って昇進した者たちのことだ。
 単に幸運だったというだけで、全く能力とは関係ないからだ。
 人間関係も調べてくれ」

チン・グァン

「ワン・リン監察がウン・ヨンベク大監の屋敷を訪れました。
 おそらくお詫びのためだと思います」
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チャン・ウィと内官

「武器を調べていますが、どれも古くて使い物になりません」

「…」

「ウン大監は娘さんと共に、奥様の墓参りに出かけられました」

「…」

「リン監察は全羅道に異動させられますが、
 年に一度はお会いすることができます。
 ワンビ媽媽のご配慮です」
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ウォンとリン

「覚えているか?
 俺たちが野犬に追われた時のことだ。
 木に登って逃れた」

「3匹がしつこかった。
 それで、世子は木の上で寝てしまった。
 何とも度胸がある人だと思ったんです」

「お前が俺のことを、
 護衛が来るまで傍で支えてくれていたからだ」

「ところで、なぜ護衛の目を盗んで外出しようとしたのですか?」

「お前と一緒だからだ。 いつも一緒だった」

「…」

「考えてみれば、お前の人生は、
 俺に出会ってから複雑になってしまったようだ」

「…」

「行きたいところには行けず、食べたい物を食べられず、
 会いたい人にも会えない…」

「…」

「いつもお前が、俺のことを最優先にしているからだ。
 それに、オモニはお前のことを殺したいくらいな冷たい目で見ている。
 俺も実は怖いと思っている」

「ええ、何度か死を覚悟しましたよ」

「すぐにでもお前のことを手放す必要があるようだな…。
 その方が気楽な暮らしができるかもしれない。
 馬で駈けまわったり、矢を射たりと、
 お前の得意なことができるからな。
 それに好きな人を好きになれる」
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「いいえ、世子と一緒が嫌ならば、
 もうとっくに力ずくで逃げ出していたでしょう」

「赴任する気がないなら、俺がオマ媽媽に…」

「いいえ、赴任します」

「馬鹿な奴だ…」

「高麗の各地を歩いて、見聞を広げてきます。
 必要ならば報告します」

「では、俺が木に登って野犬から逃げる時には誰が支援してくれるのか?」

「…」

「もう今は子供ではない。
 ソファのオモニが死んだことには、
 俺にも責任があるということを誰が隠し通すことができるのだろうか?」

「忘れて下さい」

「いいや、俺はたくさんの人が死ぬところを目撃したんだ。
 そんな事実をソファが知ったらどういうことになるのだろうか…」

「忘れて下さい。
 サニアガシも、忘れて新しい一歩を踏み出そうとしています」

「…」

「お願いします、チョハ」
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墓参り
(墓は東海岸の束草:ソクチョでした)

「ごめんなさい、オモニ…、
ごめんなさい…」

「ナウリ、見て下さい!」
(コ・ヒョン)

「…」
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やって来たのはグァンとウィを連れたウォン

「…」
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サンとリン

「美しい丘に墓があったのだな」

「ええ、母はこの湖が見える場所が好きだったのです」

「俺もだ。
 これからここを好きになることに決めた。
 時々一緒に来てみよう」

「…」

「俺が好きだからだ」

「忙しくはないのですか?
 わざわざここまでやって来て…?」

「会いたかったからだ」

「なぜ?」

「“なぜ”と聞くのか?」

「…」
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「師匠が俺を助けるためにお前を遣わせた。
 そして、お前は消えた。
 ここに俺を来るようにした上で、
 “なぜ”だと聞くのか?」

「あ~」

「アイゴ…」

「オモニに伝えたら、すぐに戻るつもりだわ」

「俺にも話があった」

「…」

「ウン・サン。
 これからは俺の傍で仕えてくれ」

「チョハ…」

「何が何でもだ。
 もしも官位が欲しければあげるし、
 友達でいたかったら友達のように振る舞うつもりだ。
 これを断れば、罠にでもかけて、監禁する」

「…」
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「師匠は私に一つの役目を与えたわ。
 チョハを助ける第一の段階は…」

「リンが去る」

「聞きました」

「止めることができなかった」

「ええ」

「だから、お前まで失いたくはない」

「…」

「良き世子、良き王になるのも良いが、
 一方ではこの世が無意味になるんだ」

「チョハ…」

「遠くには離れないようにして、これからは待っているつもりだ」

「…」

「お前が俺のことを見てくれるまで…」

「…」

「俺は気性が荒い方だが、気長に待つつもりだ」

「…」

「お前が振り返った時には、
 俺が傍にいるようにしたい
」(#)
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# 懐かしいセリフです。

ドラマ『プランダン(不汗党)』(2008年)でのセリフです。
後ろを歩くとか、離れて愛するのではなくて、これからは積極的に愛して生きていくという決心の言葉でした。

「あの人を手放したら、これから生きていく自信がないの」と言っていたダルヒ。
ダルヒは、オジュンに、
「私が振り返った時に、あなたはいなくてもいい。
 振り返った時、私が後にいるわ。
 あなたが振り返るたびに傍にいてあげる…」

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(ダルヒ:イ・ダヘとオジュン:チャン・ヒョク)

同じくシングルマザーの秘めた愛のドラマに、『ストック(~君に贈る花言葉)』(2001年)。
ストックとは“木の幹”の意味で、花ではない…。
“秘めた愛”とか“思いやり”が花言葉だそうです。

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王は愛する 第27話(下) 終止符

王は愛する 第27話(下) 終止符~サンの証言

縛られたワン一家

「お前はただ真実を話せば良いのだ」
(ワン・ヨン)

「では私はどうなるのですか?」
(ワン・ジョン)

「我々は裁きにお任せするしかないのだ」
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「リンや。
 お前はこの兄のために何かできないのか?」
(ワン・ジョン)

「…」
(リン)
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ワンビに連れられて尋問の場に向かうサンとウン大監

「この件が解決しない限り、
 あなたのオモニもあなたから離れることはできないと思います」
(ワンビ)

「…」
(サン)

「どうかあなたのオモニの無念を晴らし、
 あなたのオモニが安らかに眠れますように…」

そこにウォンが現れて、サンを留めます。

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「お前のオモニの事件を調べてはいたが、
 遅くなってしまった。
 ソン・インが背後にいたという証拠を探していたからだ」

「…」

「しかし、オマ媽媽が先手を打つとは思いもよらなかった。
 彼女はリンを排除したいようだ」

「…」

「オマ媽媽は、お前の母親の死を利用しようとしている」

「…」

「嘘を言うことすら強制しているのではないか?」

「…」
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「目を見てくれ」

「…。 嘘ではないのでは?
 ワン・ジョンが私のオモニを殺そうとした…」

「サンや…」

「彼は罪を償うべきだわ」

「では、リンも終わるぞ」

「彼も、彼の兄が私のオモニを殺したことを知っているわ」

「違う。 ただ推測しているだけだ」
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「彼は私を騙していたのよ」

「そうじゃない。 違うのだ。
 リンはこのようなことになることを恐れて、
 話をしなかっただけだ」

「…」

「チョンが罰せられるということは、
 リンだってただでは済まないということだ。
 タンも同じだ」

「だからどうだって言うのよ?!
 彼らを許せと言うの?」

「できないのか?」

「彼らを生かしておくの?!
 まるで、何もなかったかのように?!」

「サンや。 この件には蓋をするのだ。
 俺がきっと代償を払わせる」

「あなたは友人を救えばいいわ。
 私は私のやるべきことをやるわ」
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ソン・イン

「ワンビ媽媽は餌に喰いつきました。
 尋問が終わると、ワン・ジョンは首を刎ねられ、
 ワン・ヨン大法官とワン・リンは流刑になるでしょう」

「…」

「娘は奴隷となるでしょう」

「…」

「ワン・リンは逃亡するしか逃げ道はないのですが、
 計画外は世子チョハだけです。
 本来ならば戦いを挑んでくるはずですが、
 静かにしています」

「…」

「おそらく、この機会に恋敵がいなくなるでしょうから、
 静かにしているのでしょう」

「…」
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# 後に明らかになるのですが、ソン・インは忠烈王に報告しています。

ウン・ヨンベクとサンは、まずは控えの間

「すべてが終わったら、オモニの墓参りに行こう」
「はい」

サンはこれまでのことで、思いを巡らします。

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そして尋問の場へ

「…」
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「次の証人はウン・ヨンベク判府事の娘、ウン・サンです」

「…」
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「8年前の山中での事件での生存者はウン・サンと下女の二人だけだった。
 ウン・サン、答えて下さい。
 暗殺者を見ましたか?」

「はい」

「その場に、ワン・ジョンがいましたか?」

「はい」
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「この3人の罪人の中に、ワン・ジョンがいたのですか?

「サンアガシ! 私は…」
(チョン)

足を棒で打たれます。
「あ~!」

「このワン・ジョンがいたのしょうか?!」

「…」
(サンはワン・ジョンを指さします)
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「!」
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ワン・ジョンは殺人者と共謀していたのでしょうか?!」

「…」

ワン・ジョンは殺人者と共謀していましたか?!

「!」

尋問に対して、

「…」
(リンを見つめます)

リンは、
「…」
(微笑んでうなずきます)
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「判府事の娘、ウン・サン! 
 ワン・ジョンは…!」

「その日のこと、大勢の殺人がなされた中で、
 私は救われました。
 ワン・ジョン旦那が現れて、私と下女を救ってくれました」

「…」

「私の記憶にあるのは、
 腕に“蛇の刺青”がある男だけです。
 あの男が全員を殺したのです。
 どうか探し出して下さい」

「その殺人者とワン・ジョンは…」

「いいえ、私と下女を生かしたのはワン・ジョン旦那です。
 そこまでしか知りません」
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席を立つワンビ媽媽

ウォンはサンに駆け寄り、
「大丈夫か?」

「…」
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「…」
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ストレスで吐くことがあるので、宮中に残って診察を受けるようにと主張するウォンですが、ウン・ヨンベクは「馬車を用意していますから、屋敷に連れて帰りたい」と。

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「サンや。
 よくやった。ありがとう」

「…」
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元成殿

「オマ媽媽は無理をしたのです。
 大法官は王の外戚でも最高位の人です。
 市場で働く者の証言で謀反が暴けると思ったのですか?」

「…」

「他の大監たちは、
 この事件のことで“大法官はあえて何も仕事をしなくなる”と噂しています。
 それに、他の王族への警告だとも言っています」

「…」

「後の始末は私が行います」
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判決文

「ワン・ジョンは市場で働く下層の者たちと徘徊し、
 王族の品位を汚すような放蕩をしている。
 罪は大きいものの、世子チョハの御命により、
 屋敷での蟄居を命じる

(ウォンはワン・ヨンに)
「私は大法官には、
 “子弟の教育を疎かにするという大きな罪を犯した”と申し付けました。
 よって、25か所の土地を没収しました。
 国庫に帰属します」

「…」

「これで満足ですか?」
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「ワン・リンはどうしたの?
 私は弱虫の父親や、
 頭の悪い次男のことはどうでも良いわ。
 3男とは、これからどうするつもりなの?」

「なぜ、そんなに嫌うのですか?」

「ワン・リンは、宮中への出入りを禁止して、
 アンリョンサ(検察官)の官職を剥奪しなさい」

「検察官は単に六位の品階ですし、
 国王の外戚ですよ」

「全羅道の検察官の職が空席だわ」

「本当に遠ざけるつもりですか?」

(釈放されるリン)
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「無理をしていると言ったわよね。
 しかし、これは天が我々に与えた良い機会だわ。
 しかし、私には先が読めないからだわ」

「そうは思いませんでしたが…?」

「ウン・サンの心も私には関係ないわ。
 あの子がワン・リンを見る目を見た。
 それにワン・リンが彼女を見る目も見た」

「間違った見方をしています」

「いいえ、あなたは、
 この私ほど女を見る目がある者がいると思っているの?
 女が男を見る目も解るわ」

「では、私の見る目も理解して下さい。
 ウン・サンを私が好きだということはワン・リンも知っています」

「…」

「リンは、私が好きな女性のことは、
 女だとは見ていません

「…」

「それがリンという男なのです」

「…」

私のリンです

「…」
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「私のリン」というセリフにぐぐっと惹きつけられました。

次々と繰り出していたソン・インの陰謀。
これまでは、リンと“影の護衛”の現場での活躍と、
一歩下がって見ていたウォンの頭脳がソン・インを阻止してきました。
ただし今回は、
8年間もくすぶっていた事件に、サンが自らの証言で終止符を打ちました。

https://www.youtube.com/watch?v=vPlvthyWhCM
(beautiful starlight)

これからです。
裏にいたソン・インが表に出ざるを得なくなるのですが、
結局は3人がソン・インを引き出すように、直接対決となります。
今回は顔を出さない演出でしたが、垂簾の裏には忠烈王がいます。

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